"次のスカーレット・ヨハンソン"はAI女優?  「歳を取らず、わがままを言わない」に揺れるハリウッド

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それもまた現実だ。ファン・デル・フェルデンが言ったように、スタジオは密かにこの新たなテクノロジーに関心を持っている。また、AIはすでにハリウッドに入ってきてもいるのだ。

その現象は、今年のアカデミー賞でも見られた。候補作のひとつ『ブルータリスト』はエイドリアン・ブロディとフェリシティ・ジョーンズのハンガリー語のせりふをより正しい発音にするために、そして別の候補作『エミリア・ペレス』はカルラ・ソフィア・ガスコンの歌声を調整するためにAIを使用したことが指摘された。

それでも、結果的に『ブルータリスト』は主演男優、撮影、作曲部門で、『エミリア・ペレス』は助演女優と歌曲部門で受賞し、祝福されている。たしかに、これらにおけるAIの使用と、ティリー・ノーウッドのようなAI女優の誕生とは次元が違う話だ。とはいえ、今後、どこで線引きをしていくのが正しいのかは不透明である。

ジェームズ・キャメロンはAIをどう活用?

テクノロジーに関して誰よりも先を行くジェームズ・キャメロンは、人間の職業を奪うことなく製作費を削減するためのAIの使用のしかたを模索していると語っている。

同時に彼は、AIが人間の脚本家の代わりを務めることはできないとも断言する。事実、12月公開の彼の最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』では、冒頭に「この映画に生成人工知能は使われていません」とうたわれるともいう。

『アバター』はパフォーマンス・キャプチャーのキャラクターが主人公ながら、演じているのは人間の役者。人間の職を奪ってはいない。誰も不幸にせず、人間ならではのクリエイティビティとコネクションを失わない、ポジティブなAIとの関係を、私たちが見つけていくことはできるのだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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