「間違いなく最恐」「秋が最も危険」 クマよりも死者を多く出している危険生物…《スズメバチ》意外と知られていない"恐怖の実態"

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だから、「襲われる前が肝心」となる。

スズメバチは黒い色に反応するため、ハチがいそうな場所に近づく際には、帽子や服を白系や明るい色にする。強い香りに敏感なので、香水や整髪料、柔軟剤などの使用も注意したい。

「特に花の香りはハチを引き寄せやすいです。肌を露出させない、香りに気をつける、噴射力の強いハチ専用の殺虫剤を持って歩くなどの対策も大切です」

死に至らしめるのは「ハチ毒」ではない

尾の端から鋭く伸びるのが毒針だ。これはメスの産卵管が変化したもので、毒針はメスだけが持っている。

毒針
毒針を出すオオスズメバチ(写真:夏秋優医師提供)

働きバチはすべてメスで、交代でえさを探して巣を守る。巣に危害を与えようとする外敵が接近すると、攻撃して肌にぶすっと針を刺し、毒液を注入するのだ。

ちなみにスズメバチやアシナガバチの長い毒針は、刺さっても皮膚に残らない。そのため、同じ個体が何度でも毒針を刺すことができる。

刺されたら、その瞬間に激しい痛みが生じる。赤くなり腫れも生じてくるが、多くの場合は半日ほどで軽快する。死者が出るスズメバチによる反応とは思えず不思議に思うかもしれないが、これはあくまで「ハチ毒自体の刺激による反応」だ。

人生でハチに刺されるのが初めてで、1〜2カ所程度であれば、局所を冷やして薬を塗るなどで対応する。しかし過去にハチに刺されたことがあり、ハチ毒の感作が成立している(抗体ができている)場合は違ってくる。

「危険なのはアレルギー反応。過去にハチに刺されたことのある人は、アナフィラキシーを起こす抗体ができて、その作用が死に至らしめるのです。毒の強さで死ぬわけではないのです」

毒ヘビの場合は毒そのものが危険だが、「ハチ毒」はアレルギー反応が危険なのだ。よく「ハチに2回刺されると死ぬ」ということが言われるが、それは本当なのか。

後編では、ミツバチの毒でも死に至るアナフィラキシー反応や対処法を聞いた。

Dr.夏秋の臨床図鑑
夏秋医師の著書『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎 改訂第2版』(Gakken)。掲載写真はすべて夏秋医師が撮影したもの。2025年春には、登山など野外活動中に持ち歩けるポケット版(右)も発売した(写真:筆者撮影) 
鈴木 ゆう子 ライター

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すずき ゆうこ / Yuko Suzuki

総合雑誌編集部、住宅誌編集部などを経て、フリーランスとして活動。趣味実用、住宅、インタビューなどを手掛けている。「東洋経済オンラインアワード2024」クリエイティブ賞受賞。

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