沖縄はソフトパワーで飛躍する
「沖縄県には歌手やタレントを育成する機関があるのかと、海外メディアからの問い合わせがよく来る」と沖縄県関係者は苦笑する。人口比で考えても、沖縄出身の歌手やタレントが多いことを不思議に思っているためだ。
「習い事が好きな県民性もあり、県内には琉球舞踊教室やダンススクールといった教室が多い」(前出の県関係者)。沖縄には、ワンコインでダンスレッスンを行う教室もあるほど。SPEEDや安室奈美恵、黒木メイサなど著名な芸能人を輩出した沖縄アクターズスクールはその代表例だろう。
沖縄にはエンターテインメントが発展する素地があり、そこでは「沖縄らしさ」を生かしたソフト・コンテンツが広がりを見せる。コンテンツの作り手が一様にアピールするのが「沖縄から世界へ」だ。
その代表例の一つが、特撮ヒーロー番組「琉神マブヤー」。悪の軍団から沖縄を救うため、守り神・琉神マブヤーが一人の男に乗り移り、悪に立ち向かう。典型的なヒーローものだが、「ヒメハブデービル」「クーバー」(クモ)といったキャラクター名や随所に出てくる沖縄口(ウチナーグチ)(言葉)も特徴だ。
県内でテレビ放映が開始された2008年以降、沖縄では東京発の特撮ヒーローよりも子どもたちの人気は高い。東京でもテレビ放映されており、昨年には映画化も実現した。
プロデューサーの古谷野(こやの)裕一氏は「もともとは観光土産物の販売促進のため考案されたキャラクター。だが、県外や海外へも発信していくことは当初から考えていた」と打ち明ける。