参入障壁は低いけど…農家に「ジャムの加工・販売はおすすめしない」理由。 マーケティングのプロが教える"消費者軸"の商品開発

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商品開発とは「消費者が買いたいと思うものを作る」この1点です。あなたのエゴではなく、すべては消費者のためなのです。

パティシエは「甘いミカン」を使わない

他の業種、他の産業を観察することも、とても大切です。むしろ同じ業界ばかりを見ているようでは、発展はありません。

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以前、パティシエ協会の会合に参加したときのこと。そこにはミカン農家のみなさんも参加しており、彼らが作ったミカンの試食会が始まりました。

「うちのミカンはとても糖度が高い、ぜひあなたのお店で使ってもらいたい」

ミカン農家からパティシエに売り込みが始まりました。しかしパティシエさんはこう答えました。

「生食ではこのミカンはたしかに美味しい。でも、申し訳ないが、ケーキやスイーツには使えない」

農家の皆さん、これにはとてもびっくりした様子。

「なんでや? こんなに糖度が高くておいしいのに」

「そこが問題なのです。糖度が高すぎるとスイーツの素材としては使いにくいのです。甘さはあとでいかようにも調整できる。それよりもミカンとしての酸味や香りなどが欲しいのです。甘すぎると他の素材の邪魔になる」

自分たちがいいと思うものも、人や場所、使い方、業界、そして地域や国が違えば通用しないこともあります。あなたが買ってもらいたい相手が何を求めているのか。これをよく観察することの重要性がわかるエピソードです。

角田 誠 株式会社はりまぜデザイン代表

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つのだ まこと / Makoto Tsunoda

2007年に100円ショップ向けデザイン会社を立ち上げ、数々のヒットを飛ばし、大手100円ショップ全商品の中で年間売上1位を獲得する。2013年に農業専門に事業転換。ブランディング・マーケティングをふまえ農家の所得向上・事業承継を目指す。47都道府県、650軒以上の農家にデザイン提供を行う。

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