参入障壁は低いけど…農家に「ジャムの加工・販売はおすすめしない」理由。 マーケティングのプロが教える"消費者軸"の商品開発

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自分自身もほとんど食べないのに、なぜジャムを作れば売れると思ってしまうのでしょうか。それはやはり、消費者を観察せず思い込みで作っているからです。

消費者が買いたいと思うものを作る

さらにメーカー品は別ですが、農園・農家が作るジャムなどの加工品は日用使いではありません。価格が高く製造量も少ないからです。そうなると、どうしても消費者からすると特別な商品、というイメージになってしまいます。ただでさえ毎日食べないのに、さらに特別感が出てしまうと、どんな消費者がいつ、何のために買うのか? をきちんと設定しないと、まったく売れない商品になってしまいます。

ただし誤解しないでください。ジャムが売れない、と言っているのではありません。「消費者が求めているものを作る」ことが重要だということです。実際、弊社でデザインさせていただいたジャムでは、メーカー品では難しいフレッシュさや果実感など、消費者が求める特徴のある商品はしっかりと売れています。

加工品を作り失敗してきた人が多いのは、「これしかできないので作る」で作ってしまうからです。「仕方がないじゃないか、廃棄をなくして閑散期の収入アップを狙って作りたいのだから」とおっしゃる方も多いです。多いというか、ほぼ、理由はそれじゃないでしょうか。

しかし、それは消費者にはまったく関係ありません。あなたは「捨てるのがもったいないから作ったので買って」と言われて買いたくなりますか? なりませんよね。商品が欲しくなるのは食べたいからです。食べたくないものは買いません。それが人助けでも持続可能な社会の実現でも環境に優しくても、です。

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