"食が細くなってきた中高年"がすぐに卒業するべき「しっかり食べること=健康」という【思い込み】

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戦後の日本では、「食べ物を粗末にしてはいけない」という教育のなかで、「残さないこと」が美徳とされてきました。その背景には、先ほどもふれた「もったいない精神」と呼ばれる、命や資源を大切にする日本独自の価値観があります。

ところがその一方で、日本ではまだ食べられる食品が、年間約522万トンも捨てられているという現実があります(令和3年度、農林水産省・環境省推計)。1人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食べ物を捨てている計算です。

この「フードロス」は、単に"もったいない"だけでなく、食料を生産・流通・調理するために使われたエネルギーや水、資源の無駄遣いにつながり、地球温暖化を進める一因にもなっています。

本来の「もったいない」とは、過剰に食べようとすることではなく、必要なぶんをありがたくいただくという"質と節度"の感覚なのです。

ただひとつ気をつけていただきたいのは、食べたいと感じたときにはちゃんと食べるということです。食べないとどんどん食べられなくなっていくので、空腹感という体のサインにはきちんと応えてあげるようにしましょう。

世界の長寿研究が示した「少量高密度栄養」思考

「もっと食べなきゃダメよ」

「年を取っても食が細くなっちゃいけないよ」

こんなふうに言われることの多い少食さんにとって、「しっかり食べること=健康」という考え方は、これまでの人生で自然と身についてきたものかもしれません。けれども最近の研究では、食事の量が少ないことが、必ずしも悪いことではないことがわかってきています。

年齢を重ねるにつれ、体の代謝はゆるやかになるので、若いころと同じ量の食事をとっていると「なんだか重い」「疲れる」「胃がもたれる」と感じるのは、ある意味自然なことです。

そんなときは、無理をせず、自分の体調や体の声に耳を傾けて"ちょうどいい量"を見つけていくことが、何よりも大切です。

じつは、食事量を減らしながらも必要な栄養素をしっかりとる"栄養素密度の高い食べ方"は、近年とても注目されています。

たとえば、おかずの一品を野菜とたんぱく質の組み合わせにしたり、スープに鉄分やカルシウムの多い食材を取り入れたりするだけでも、量を増やさずに栄養価をぐっと高めることができるのです。

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