共通テストは無事に終わった。自己採点の結果もまずまずだが、1つ合格が出るまで、千鶴さんは不安げだった。
「例えば私立が国立で受けたレベルと同等の早稲田や慶應レベルなら、本人も納得いくと思うのですが、やっぱり早慶を滑り止めで出願するほどの力はなかった。早慶は専門の対策をしないと難しいです。もしも滑り止めで受けた大学に行くことになったら、自分はそれで納得ができるのか、不安だったようです」と母親。
それでも、東京外大の2次試験前に、共通テスト利用型で立教と獨協の合格が出ると少し気持ちは楽になったようだった。そして2次試験本番へ向けて、親のサポートも正念場。最後の最後で、前泊予定のホテルがイマイチではないかと迷い、私立入試で使った「両国のホテルがすごく良かったので、距離は遠いのですが、両国のホテルに切り替えました」。
両国のホテルから東京外大まで1時間はかかる。キャンセル料の発生しないギリギリまで天気予報を見て、試験当日の天候に問題ないことを確認し、大学近くのホテルをキャンセルした。
直前のそんなドタバタ劇はあったものの、結果は東京外大に見事合格だった。一般入試では同志社と上智も合格した。今、千鶴さんは念願の一人暮らしをしながら第一志望の東京外大に通っている。
次女の選択
高校卒業間際まで、ずっと試験を受け続けていた姉の姿を見て、次女の凛花さんは「大学は推薦入試で受験したい」と早くから言っていた。姉とは違う県立の進学校に進んだのだが、姉の学校ほど「上を目指せ」という圧もなかった。
同じ高校にいた姉の友人が指定校推薦で大学入試を終えた様子を見てからというもの、「私もあれがいい」と感じたのだという。
指定校推薦を獲得するためには普段の学校の成績をキープする必要がある。学校ではバスケットボール部に所属、部活を頑張りながら、塾は本人の希望で個別指導の塾に通った。
高校3年生の夏の高校総体まで部活も楽しみ、母方の祖母宅から通える中で指定校推薦のある大学を探すと、ちょうど関西学院があったため、担任に希望を伝えた。評定も基準を満たしていて、指定校推薦の学内選考をすんなり通過。
通っていた塾にそのことを伝えると、「じゃあもう大学受験は終わりだね。ご苦労さまでした」と“卒塾”を告げられた。
「次女の大学受験は本当にあっけなかったです。入試は面接のために大学に行った1回だけです。ホテルの手配や、煩雑な入試スケジュールの調整をサポートすることもなかったですし、指定校推薦は推薦が取れればほぼ合格と言われていたので、学内選考が終わった秋からは、のんびりと暮らしていました。同じ大学入試でも、天と地ほどの違いがあるなと感じました」と母親。
勉強一筋に頑張った長女、部活も頑張り、学内の成績もキープしながら行ける大学を選んだ次女。どちらが良い悪いということではないが、多様化する入試の現実を小林家は体験した。

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