「グルテンフリーの麺?ぼそぼそして美味しくないのでは…」と思いきや…小麦不使用なのに「激ウマラーメン」を作った意外な会社

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こうした革新の背景には、ケンミン食品の歩みが深く関わっている。

ビーフンのメーカーとして長年培ってきた「押し出し製法」の知見を生かし、中華麺の伝統的な製法にとらわれない自由な発想で開発を進めたからこそ、従来のグルテンフリー麺が抱えていた「ぼそぼそした食感」という弱点を克服できたのである。

中華麺の基本的な製法をただ模倣するのではなく、ビーフン会社だからこその視点から再構築したことが、この麺の最大のイノベーションといえる。

言われなければ気づかないかも…?

「小麦を使っていない」と聞いて、びっくりするはず。ビジュアルからは全然わからない(筆者撮影)

実際に食べてみると、グルテンフリーであることを意識する瞬間はほとんどなかった。しなやかさや噛み切った後の余韻にわずかな差は残るものの、それを補って余りあるほどの調和と完成度があった。淡麗でありながら力強い、ラーメンらしい見事な一杯だった。

ケンミン食品の高村祐輝社長
ケンミン食品の高村祐輝社長(筆者撮影)
書影
『ラーメン一杯いくらが正解なのか』(ハヤカワ新書) 。書影をクリックするとAmazonに遷移します
 

小麦を使わずに中華麺らしさを実現したという事実は、ラーメン文化の革新の可能性を示している。

高村社長が「誰かを思って作った、温かく優しい商品を作りたい」と語った言葉は決して誇張ではなく、実際に食べてみて初めてその意味を実感できた。

グルテンフリーという制約を起点にしながら、それを感じさせない完成度でまとめ上げたこの一杯は、技術と情熱と自由な発想の結晶であり、あらゆる人に美味しいラーメンを食べてもらえる世界の第一歩として大きなものだった。

 

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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