熱中症対策で「塩分摂取は必要」と考える人の盲点。医学会では「摂らなくていい」との助言も…「正しいのはどっち?」専門家に聞いてみた
注意文によると、成人の日本人の食塩(塩分)摂取目標量は、1日当たり男性は7.5グラム未満、女性は6.5グラム未満。夏は発汗により塩分やカリウムといったミネラルが失われがちだが、日本人の食塩摂取量は普段から1日当たり平均10グラムと多く、必要量をはるかに超えているという。
高血圧の人はさらに男性、女性ともに塩分摂取を1日当たり6グラム未満に抑えることが求められており、原則として「夏の間も適切に減塩すること」が必要とされている。
つまり、同学会は「屋外での作業や運動で大量に汗をかいた場合でも、普通の食事を取っている人は塩分をわざわざ増やす必要はない」と助言しているわけだ。
確かに、WHO(世界保健機関) が推奨する成人の塩分摂取量は、食塩相当量として5グラム未満。日本人は目標量でさえ1.5倍程度で、実際の摂取量はそれよりも多い。
塩分過多の落とし穴は「飲み物」?
日本人の塩分過多の背景にあるのは、食習慣だ。
日本の代表的な食事といえば和食だが、みそやしょうゆなど、塩分量が多い調味料を使うことが多いうえ、保存食として漬物、梅干しや魚の干物といった塩味の強い食品も好んで食べている。
そこに加え、熱中症対策だからと塩あめやタブレットを毎日のように摂っていれば、汗として出ていく以上に塩分を摂っているおそれがある。
塩分過多の落とし穴は、意外なところにもある。スポーツドリンクや経口補水液だ。
同学会のホームページによると、種類によっても異なるが、スポーツドリンク500ミリリットルには約0.5グラムの塩分が入っている。さらにその上を行くのが経口補水液で、500ミリリットルにはその3倍の1.5グラムの塩分が含まれている。
同学会はこれらの飲み方についても、脱水時などには役立つとしたうえで、「スポーツドリンクに糖分が多く含まれていることはよく知られていますが、スポーツドリンクや経口補水液には多くの塩分も含まれています」と、注意を呼びかけている。
「スポーツドリンクは糖分が入っているから、甘くない経口補水液なら大丈夫だろう」と思って飲んでいると、塩分過多状態に陥るリスクがあるというわけだ。
なかでも、高血圧や心臓病、腎臓病の人がスポーツドリンクや経口補水液を飲む際には、かかりつけの医師に相談してほしいと、同学会は呼びかけている。
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