実は「紅茶と健康」のような誰もが気になるトピックは、世界中で研究されています。その世界中の研究をまとめた報告などによると、むしろ腎結石の予防効果が示唆されています(※3、※4)。
ただし、だからといって「そうか、紅茶を飲んでも腎結石になることはないんだ!」と結論するに至らないところが、食事学の難しいところです。
まず、上で紹介した「世界中の研究をまとめた報告」の結論は、あまり信頼性が高くありません。これはどういうことかというと、人によって影響が異なる可能性が示唆されているということです。
科学的根拠から平均的に紅茶によって腎結石予防効果があるとしても(実際にそう示唆されています)、それを「あなたへの効果」や「日本人の効果」として解釈するにはあまりに心もとない、という話になります。
紅茶と腎結石のエビデンスを読み解く
腎結石に関しては、食事からのシュウ酸がその形成に寄与することはほぼ間違いありません。実際にガイドラインでも「腎結石の再発予防」として食事からのシュウ酸を避けることがアドバイスされています(※5)。
患者にとっても医者にとっても、いくら疫学研究で紅茶は腎結石リスクの低下と関連していると言っても、(腎結石患者が紅茶を飲むことを)なかなか額面通りに受け取るのは難しいかもしれません(とくに一度腎結石を経験している人にとっては)。
なお、シュウ酸を多く含む食材は、紅茶の他にも、ナッツ、チョコレート、ほうれん草などがあります。
そして、腎結石予防に、「水分を十分とる(ことで尿中のシュウ酸濃度を下げる)」「カルシウムをしっかり摂取する(ことでシュウ酸カルシウムを形成させ尿中のシュウ酸濃度を下げる)」ことが、食事由来のシュウ酸を避けること以外に推奨されています(※6、※7)。
紅茶はカフェインを含み、尿量が増えるため、この点では腎結石予防に効果がありそうです。やはり「紅茶由来のシュウ酸」ということだけでは結石形成に至る全体像を把握できているとは言えませんね。
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