「助けてください」涙の土下座で迫る人事部長――同情心を食い物にする「採用ノルマ」の狂気

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転職に向いてない人がそれでも転職に成功する思考法
転職に必要なのは能力だけではない。「お人好しをやめること」もまた重要な適性だ(写真:freeangle/PIXTA)
「転職には『適性』があり、それは仕事の『実力』とは無関係です」
そう語るのが、転職者2000人超を指導し、ミスマッチ退職率を44.0%から9.1%に劇的に改善させた“転職定着マイスター”、川野智己氏だ。川野氏がこのほど刊行した書籍『転職に向いてない人がそれでも転職に成功する思考法』では、「転職適性のない人」の特徴と、それでも転職に成功する方法を解説している。
本記事では、「転職適性のない人」の善意につけ込もうとする驚愕の「採用手法」を、川野氏への相談者たちの実体験をベースに紹介する。

「カジュアル面談」のはずが派手な女性たちが登場

「お願いします。あなたが入社してくれないと、私は辞められないのです。助けてください」

転職に向いてない人がそれでも転職に成功する思考法
『転職に向いてない人がそれでも転職に成功する思考法』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

もし、採用責任者から突然、涙ながらに土下座されたら、あなたの気持ちは揺らぐだろうか。

岩崎俊介(仮名、39歳)は小学校の教員を経験したのち、教育委員会の人事部門に出向している。現場の学校では教員の休職や退職が相次ぎ、子どもへの指導だけでなく保護者との関係に悩み、うつ病を発症するケースも少なくない。なかには保護者からの行為が「教員へのいじめ」と思われる事例もある。

だが、現場で寄せられる悩みに対して岩崎ができるのは、話を聞いてやることだけ。ルールどおり、理屈どおりには解決できず、無力感にさいなまれる日々だった。

来春には出向を終え現場教員に復帰する予定だが、一方で人事の経験を生かし、民間企業で従業員の心のケアに携わりたいという思いも芽生えていた。

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