「流通にほぼ乗らない」揖保乃糸の激レア"兄弟パスタ"。手延べ製法で生まれる「1年寝かせ麺」の実力と、リピーター続出を支える3軒の革新者
森口さんが着目したのは、「揖保乃糸の産地なのに、そうめんを専門店として体験できる場所が意外に少ない」という現状だった。揖保乃糸と自社製品の魅力を発信する拠点として、2022年9月に店をオープンさせた。


同店では、「特級(黒帯)」「縒(より)つむぎ」「上級(赤帯)」といった揖保乃糸を、その日の仕入れによって提供している。「特級」は、ギフト用として扱われることが多い。運がよければ、専用倉庫で1年寝かせた「古(ひね)」に出会えることもある。どの等級のそうめんが食べられるかは、訪れてのお楽しみというわけだ。


オープンから3年目の現在、平日ランチタイムのみの営業にもかかわらず、大阪など遠方から目的地として訪れる観光客が増えている。ただ、平日は人通りが少なく、集客は今後の課題だと森口さんは語る。
「揖保乃糸と自社オリジナル乾麺を体験していただける場所として、もっと広く認知してもらえるよう発信活動を強化していきたいですね」
揖保乃糸を、若い世代に伝えていくために
森口製粉製麺は1877年(明治10年)創業、140年以上の歴史を持つ老舗工場だ。生産者として揖保乃糸の製造にも長く携わってきた。
伝統を守りながらも、森口製粉製麺は常にアグレッシブに挑戦を続けてきた。初代は手延べそうめんの製造を始め、2代目は機械製乾麺の製造に着手。3代目は揖保乃糸と自社乾麺の直販所を開設し、4代目は自社オリジナル商品の開発に力を注ぎ、会社を大きく成長させてきた。

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