旅費+サービスで400万円「介護クルーズ」の中身:豪華客船で自立目指すリハビリ100日間→「歩けないままなら返金」と強気の主催者の"想い"

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かつての日本は社会保障制度のおかげで、困ったときも問題はない、保障によって生活を助けてもらえるという考え方が主流だった。

「むしろ保険を使わないと“損”みたいな感覚でしたね。実際、病気や要介護になっても、ケアを潤沢に受けることができました。この社会保障制度は見方を変えると、保険に依存して自立心を失っていく仕組みにも思える」と、森さんは話す。

国立社会保障・人口問題研究所「令和4年度社会保障統計資料」
社会保障給付費用は34年で約2.9倍になっている(出典:国立社会保障・人口問題研究所「令和4年度社会保障統計資料」)

若い人たちが支払う健康保険料や介護保険料は年々増え続け、利用する高齢者との間の需要と供給のバランスが崩れているのは、周知の事実だ。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、介護や医療の需要が急増し、社会保障制度に深刻な影響を及ぼす。

介護クルーズが問う自立の価値

これからの日本では、これまでのような手厚いケアは望めない。

クルーズでのリハビリプログラムと聞くと、どこか遠い世界のようにも感じるかもしれない。しかし、これは1つのきっかけにすぎない。我々にとって今一番必要なのは、「要介護者が集中して自分のケアと向き合える場、機会を作ること」「自立し、依存しすぎないこと」なのだろう。

森さんは「車いすで生活している人が歩いて生活できるようになることは、どれほど価値があるか。そのことを考えてほしい」と話した。

船内でマシンを使いながらウォーキングする様子
スタッフが横でサポートしながらリハビリ(写真:ポラリス提供)
永見 薫 ライター

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ながみ かおる / Kaoru Nagami

1982年生まれ。兵庫県出身、東京都在住。大妻女子大学比較文化学部比較文化学科卒業。中国と日本の女性史を中心に比較文化学を学ぶ。複数の企業勤務を経て2014年よりライター。主な執筆テーマは在学中より関心の高かったジェンダーや多様性のほか、働き方、子育て、まちづくり。1児の母。Twitter:kao_ngm

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