旅費+サービスで400万円「介護クルーズ」の中身:豪華客船で自立目指すリハビリ100日間→「歩けないままなら返金」と強気の主催者の"想い"
森さんによると、要介護高齢者の自立を阻害する要因は5つあるという。脱水、栄養、モチベーション、薬、そしてリハビリの不足だ。介護クルーズでは、1つひとつ要因を取り除きながら自立支援を目指す。
「高齢者は意識していなくても脱水になりやすい。脱水状態のまま歩くと、しんどくて歩きたくなくなる。私たちはまずそこをケアすることから始めます。また、元気に体を動かすために、栄養もしっかり摂ってもらいます。
モチベーションも大切です。車いすの人に『元気になったら何をしたいですか?』と尋ねてももうあきらめているのか、なかなか答えが出てこない。歩けなくなった人、寝たきりになった人に“もう1回元気になって出かけたい”と思ってもらえることが大切です」(森さん)
睡眠導入薬や便秘薬などを服用している人には、薬をやめてもらうのも自立支援の1つだ。森さんは「薬を使うといつお通じが出るかわからないから、便秘薬は使わない。薬の副作用で筋力が低下するのを防ぐという目的もあります」と話す。
そして、何年間も寝たきりのままでいた人が歩くためには、パワーリハが必要だという。
こうしたケアは即日に効果が出るものではない。その点、長期にわたって旅をするクルーズ船だとじっくり時間が取れるため、理にかなっている。
社会保障にできるだけ頼らず自立を目指す
日本の介護保険制度が始まって25年。介護も介護保険の仕組みも、現在は過渡期にある。
介護サービスは、これまで介護士の経験や感覚をもとに提供するのが主流だった。しかし、今は科学的根拠に基づいた介護(科学的介護)へとシフトしつつある。これが第一の変化だ。
2016年の未来投資会議では、安倍晋三首相(当時)が「“予防・健康管理”と“自立支援”に軸足を置いた新しい医療・介護システムを本格稼働させていく」と発言した。

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