東北新幹線の新花巻駅から、JR釜石線に乗り換えて約1時間。遠野駅は山に囲まれた小さな町の中心で、重厚な駅舎を構えています。
遠野市観光協会の方の話では、昨年の『母の待つ里』の放送以来、ロケ地として話題となり、“里”を訪ねるファンが多くいるといいます。
誰もがイメージするような、“日本のふるさと”の風景がそこにあり、ロケ地として選ばれたことも頷けます。まさに現代に“ありそうでない”日本の田舎なのです。
遠野はもともと、柳田国男氏による『遠野物語』(1910年)で知られる“物語のふるさと”。市内には人々が伝えてきた多くの伝説が残っていて、特に河童伝説は有名です。
そうした物語あふれる町の雰囲気が、『母の待つ里』の世界観とマッチしたのは訪ねてみるとよく分かります。


現役の「里山」が残る“村”
駅から北へ向かって山間に進み、その入り口にある「遠野ふるさと村」の一角に、ドラマで“母”が住んでいた「曲り家(まがりや)」のロケ地となった家が建っています。
曲り家とは、岩手県の盛岡市や遠野市などで多くみられる、母屋と馬屋が一体となったL字型の伝統家屋です。
遠野ふるさと村は、遠野市周辺の伝統的な「南部曲り家」を大切に移築・保存し、馬と人が共に暮らしたような、昭和初期の農村をイメージして整備したテーマパークです。
園内には里山が美しく保存されており、それぞれの曲り家には「まぶりっと(守人)さん」と呼ばれる管理人が実際に日中暮らしています。まぶりっとさんとのコミュニケーションなどを通じて、家々が“生きている”様子を体感することができます。


無料会員登録はこちら
ログインはこちら