『ちはやふる -めぐり-』はなぜ"恋愛を控えた"のか? 贅沢品としての青春を誠実に描いた、静かな名作の功績を考える
ドラマの舞台は梅園高校。高校時代に千早と共にかるたに情熱を捧げた奏(上白石萌音)と競技かるた部の幽霊部員・めぐる(當真あみ)が出会い、物語が動き出す。

梅園高校競技かるた部は部員が集まらず廃部寸前。そこへ、めぐるをはじめとした新メンバーが集まり、全国大会出場を目指すのだった。
この構造だけ見ると、ありがちな“部活もの”に見えるかもしれない。だが今作は、従来の「燃え尽きるような青春」像とは一線を画している。
「青春は贅沢品」──高校生の諦念描いたシン・ちはやふる

今作のキーパーソンであるめぐるは過去、中学受験に失敗したことをきっかけに、何事においても「効率」を重視するようになってしまっていた。青春は贅沢品と考え、自分の気持ちにブレーキをかける。その姿は痛々しく、「大人になりはじめた心の成長」と片付けてしまうにはあまりに乱暴だ。
それでも、周囲の人間関係の中で少しずつ自分のペースでかるたと向き合い始める姿は、いまどきの“等身大”な高校生像そのものだ。
他の部員たちも各々に悩みを抱えている。スポーツで挫折した者、かるたが強い家族との間でぎくしゃくしている者……。各話でそれぞれのエピソードが描かれ、梅園高校競技かるた部は一歩ずつチームになっていく。
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