ところが、「日高屋」「幸楽苑」などのリーズナブルなラーメンチェーン、「吉野家」「すた丼」など他の外食チェーンが提供するラーメンと比較してみると……見えてくるのは、「松屋」の新業態に込められた意外な狙いであった。
「ラーメン1000円の壁」を大きく下回る価格設定
近年のラーメン業界を語るうえで避けて通れないのが、「1000円の壁」という言葉だ。
原材料の高騰、人件費や光熱費の上昇により、従来700〜800円が相場だったラーメンは、いまや1000円前後が当たり前になりつつある。都心の人気店では、トッピングを追加すれば1500円に届くことも珍しくない。

そうした状況下で「680円」という価格は、まさに逆張りともいえる戦略だ。「松太郎」のラーメンは、「日高屋」の中華そば(420円)、「幸楽苑」の中華そば(490円)と比べれば少し高い。しかし、1000円超えが当たり前になった今のラーメン市場を俯瞰すれば、リーズナブルで十分に美味しいという立ち位置を確保しているともいえる。
醤油ラーメンは魚介がじんわり香る醤油スープに北海道産小麦を使用した細麺を合わせたクラシック系。ダシ感が深く、安っぽさはない。680円で十分満足できるクオリティだ。

メニュー構成を見ると餃子や生ビール、ハイボールなどもあり、「ちょい飲み」需要も狙っているようだ。
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