都心で醤油ラーメンを「680円」で提供も、ラーメンファンの心をつかむのは難しい? 松屋が始動「ラーメン専門店」に込められた"狙い"を読み解く

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ラーメンは常にトレンドが変化する。今提供しているものが5年後もウケているかはまったくわからない。その中で、「松屋」は「松太郎」というラーメン業態を独立店としてオープンするにあたり、まず看板メニューは誰にでも受け入れられる普遍的な醤油ラーメンにしようと考えたのだろう。

また、ラーメン業界が日々進化し、日常食からグルメ体験へと変化を遂げようとしている中、「松太郎」はあくまで日常食としてのラーメンを提供しようとした。

トレンドを追って商品開発をすると、この視点がブレてしまう可能性がある。「松太郎」のこのオーソドックスな商品展開にはその意思が見える。

現段階では、ラーメンファンの心をつかむのは難しい?

流行に左右されない定番を狙った戦略。今後のブラッシュアップ次第では、大きく化ける可能性もある(筆者撮影)

とはいえ、課題はある。「日高屋」「幸楽苑」と比べて一杯あたり200円ほど高い以上、顧客に「松太郎」を選ぶ理由を提示できなければならない。

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もちろん、今後どんどんブラッシュアップされていくはずだが、現状のオーソドックスな味わいで、ラーメンファンの心を強くつかむのは難しいだろう。

また、カウンターのみの店舗設計は回転率向上には寄与するが、「ちょい飲み需要」を掘り起こすには不向きだ。「松屋」が牛めしに続く第二の柱としてラーメンを成長させるには、この方向性をどう整理するかが課題となる。

「吉野家」が「話題性」で、「すた丼」が「ブランド連想」で差別化を図ったのに対し、「松太郎」は「普通さ」で勝負に出た。「松屋」の挑戦は、ラーメン市場に「普遍性」という新たな競争軸を提示しているのかもしれない。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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