「影のアメリカ大統領」とも呼ばれるピーター・ティールが示す《ビットコインの本当の敵》の正体
20年後のビットコイン
昼食後、ペイパル創業者からベンチャーキャピタリストへと転身したピーター・ティールの登壇が予定されていた。ビットコインにはリーダーがいないとよく言われるが、実際にはサトシ・ナカモトの存在が、彼はいないはずなのにあちこちに感じられた。
基調講演や重要なパネルディスカッションが行われる「ナカモト・ステージ」の両脇には、彼の文章から抜粋した一節が次々と表示されるモニターが設置されていた。外部の人間には陳腐に見えるが、内部の人間にとっては奥深く感じられるという、まるでダイアネティックス〔米国の哲学者ラファイエット・ロナルド・ハバードが提唱した疑似科学的な心理療法。多くの批判を受けているが、サイエントロジー教会などが支持している〕のような雰囲気があった。
「盗まれると鉛に変わってしまう金(ゴールド)があったとしたらどうでしょうか」
「これを一般の人々向けに説明する文章を書くのは本当に大変です。何にもたとえるものがないんです」
「20年後には、ビットコインの取引量がものすごいことになっているか……まったく取引されなくなっているか、どちらかでしょう」
「ネットワークは、非構造的なシンプルさゆえに堅牢(けんろう)なのです」


















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