サントリー新浪剛史前会長を襲った≪大麻サプリ≫の罠 合法「CBD」と違法「THC」の境界はどこに?

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今回の事例が特異なのは、捜査対象となったのが若年層ではなく、日本を代表する大企業のトップだった点にある。

本人は違法性の認識がなかったと述べており、詳しくは捜査の結果を待たないとわからないが、本人が供述しているように、CBDとTHCの境界は一般の人々にとってはまずわからない。購入したものが、海外では違法ではなくても、日本では違法な成分が含まれていたということも十分にありうる。

そして、いくら本人には違法性の認識がなくても、また違法な薬物を摂取していなくても、やはり経済界トップの薬物関連疑惑は、企業のガバナンスや社会的信頼に直結する。

したがって、単純なことだが、製造元のよくわからない大麻製品や「サプリ」などは、どんな宣伝文句がついていようとも、安易に購入したり摂取したりしないということだ。

一般人が巻き込まれるリスクが増大

これまで日本社会では、大麻や違法薬物は「一部の若者や不良層の問題」として扱われがちだった。しかし今回のケースは、そのリスクが身近なところに潜んでいること、そして自分が知らずにそれに巻き込まれるかもしれないことを浮き彫りにした。

成分規制の時代においては、知らずに違法性のあるものを所持や使用をしていても、「知らなかった」「CBDだと思った」では済まされない。そこには法的リスクだけではなく、健康を損なってしまうリスクもあることを再認識する必要があるだろう。

原田 隆之 筑波大学教授

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はらだ たかゆき / Takayuki Harada

1964年生まれ。一橋大学大学院博士後期課程中退、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校大学院修士課程修了。法務省法務専門官、国連Associate Expert等を歴任。筑波大学教授。保健学博士(東京大学)。東京大学大学院医学系研究科客員研究員。主たる研究領域は、犯罪心理学、認知行動療法とエビデンスに基づいた心理臨床である。テーマとしては、犯罪・非行、依存症、性犯罪等に対する実証的研究を行っている

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