《万博》唯一の個人店が挑んだ「冷凍だらけ」の現実 生食材からの完全手作りで、1日7回転の大繁盛とんかつ店を生んだ"執念"の舞台裏

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とんかつ乃ぐち
「おまかせとんかつコース」(税込み6800円)で提供される、豚の銘柄も部位も異なる5品のとんかつ(写真提供:とんかつ乃ぐち)
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2025大阪・関西万博に唯一の個人店として出店を果たした『とんかつ乃ぐち』。しかし、それまでの道のりは困難続きだった。4000万円の資金調達、ガチガチに決められた仕入れのルール、99%が冷凍食品という驚きの現実――。数々の壁を乗り越えて手にした成功の裏側には、オーナーシェフ 野口典朗さんの「職人の矜持」と強靭な「チーム力」があった。
前編:元イタリアンシェフ「コロナ禍で1500万借金」から《万博出店》へ。「家賃2万円」おんぼろとんかつ店が月商2700万円に急成長した「振り幅戦略」

万博で目にした、まさかの光景

2025年4月、大阪・関西万博がスタートして野口さんが目にしたのは、衝撃的な光景だった。生や冷蔵で食材を仕入れ、一から手作りをしている日本の飲食店はほぼない。野口さんが見た限りでは、ほとんどの店舗が冷凍食材を使用していたのだ。

一方、海外パビリオンを見ると大多数が、生や冷蔵の食材で一から手作りしていた。サウジアラビアとハンガリーのパビリオンでは、「世界のトップ100人」レベルのシェフが腕を振るっている。「日本の料理、弱くないか?」野口さんは愕然とした——。

時を遡ろう。『とんかつ乃ぐち』に万博から内定通知がきたのは、2024年12月だ。1度目の公募には落選したが追加公募で、放送作家や脚本家として活躍する小山薫堂さんがプロデュースする未来型レストラン「EARTH TABLE〜未来食堂〜」エリアに内定が出たのだ。

とんかつ乃ぐち
「食の未来」を体験できる、万博ならではの特別なレストランが集まる「EARTH TABLE〜未来食堂〜」の一角にオープンした『とんかつ乃ぐち』(写真提供:とんかつ乃ぐち)
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