野球の試合があるのは年間たった71試合なのに…「北海道・エスコンフィールド」が人でいっぱいなのはなぜ? 「驚異の集客力」に隠された緻密な設計

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そして、野球と並んでエスコンフィールド最大の楽しみは「グルメ・フードコート」。試合中も、「優光」(ラーメン)「天金」(寿司)などがある「七つ星横丁」、球場内で醸造されたクラフトビール「よなよなエール」を真下で買って、ちびりちびりと味わいつつ、グラウンドを一望して過ごしたい(その結果、次回来訪時は試合開催日に、ここから観戦したいと思う人も少なくないだろう)。

球場内で醸造したビールやパストラミサンドがある「そらとしば」、親会社である日本ハム直営の3店舗が集う「tower11 foodhall」などなど……。

エスコンフィールド内だけで60店舗以上の飲食店があり、1試合だけではとても回りつくせない。何より各店とも名店ばかりで、そこらのフードコート以上に迷ってしまうことは必至だ。

「台湾風かき氷」
フードコートの座席には細かくモニタ-が設置され、食べながら試合を見ることができる。写真は「台湾風かき氷」(筆者撮影)

飲食店や通路の周りにはテーブル席が多数設置されていて、角度を変えたモニターが無数に設置されている。現地にいても、座席から離れてモニターで試合の様子を追いつつ、「ワッ!」と歓声があがる決定的瞬間をモニターで見守るもよし、座席側に駈け寄ってリアルに見守るもよし。多様な見方を選択できるのだ。

これが昔の観戦スタイルとは違ったところで、いまの世代は「パ・リーグTV」のような「スゴイ瞬間だけダイジェスト見」や、目の前の選手の情報をスマホで調べつつの「ながら見」が、徐々に主流になりつつある。スマホが当たり前になった今どき、2時間・3時間と試合を見続けるより、さまざまな情報を知りつつ、観戦するのだ。

また、家族連れ・幼児連れだと、座席にずっと座っている訳にもいかない。快適な座席以外にもフリースぺースを提供し、グルメを満喫していても息抜きをしていても、子供のオムツを替えていても、試合をしっかり目で追えるのは、本当にありがたい。エスコンフィールドが作り上げた観戦スタイルは、きわめて理にかなった今どきのものと言えるだろう。

一見して「家で配信を見ていれば?」と思うかもしれないが、現地にいれば「3万人の観客の歓声」というライブ感がプラスされ、忘れられない体験になる。ゲームを飛び飛びで見ていても、「山縣秀選手のアクロバティックなダイビングキャッチ」「体重120kgのフランミル・レイエス選手の疾走」など、実生活ではまず見かけない全力プレーを目にすれば、選手が“推し”に変化し、帰りには「エスコンフィールドに行ってきましたクッキー」などのお土産とともに、グッズを買いたくなっているかもしれない。

試合がない日も、ボールパーク満喫!

エスコンフィールド横の公園
エスコンフィールド横の公園(筆者撮影)
「Truffle BAKERY」の焼きたてパン
「Truffle BAKERY」の焼きたてパン。コーヒーやソフトドリンクもしっかり美味だ(筆者撮影)
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