野球の試合があるのは年間たった71試合なのに…「北海道・エスコンフィールド」が人でいっぱいなのはなぜ? 「驚異の集客力」に隠された緻密な設計

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そういえば試合中も売り子の方がビールを満遍なく売りに来ており、ツマミも完備の“アルコール天国”で、一日呑み歩くのも良いだろう。

「そらとしば」で原稿執筆中
「そらとしば」で原稿執筆中。快適だがマウスパッドは必携(筆者撮影)

なお筆者は「そらとしば」2階席で、オンライン会議で「ここはスタジアム、目の前グラウンドですよ?」「ログアウトしたら速攻でクラフトビール飲みます、まさか皆さん、この後も仕事?」と宣言して、神保町でネクタイを締めて働くサラリーマン数人に地団駄を踏ませた。こういった「長期滞在先のちょっと涼しいコワーキング」として球場に長居する人々も相当数いるようだ……やりすぎると取引を切られそうなので、要注意だ。

非試合日のボールパークウォッチング ここはもはや「普通の街」?

各地から集結する貸切バス
各地から集結する貸切バス。遠足で来る子供たちがきわめて多い(筆者撮影)

非試合日のボールパークでは、もはやひとつの街と化したような、人の営みを眺めるのも楽しい。敷地内のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」に住む人々が犬を散歩させていたり、敷地内にある認定こども園のお散歩カートが数十人の子供を載せていっせいに移動していたり。非試合日も人が多いと思ったら、ボールパークは既に「地元の人々のお散歩コース」と化しているようだ。

また、平日昼間は課外学習・遠足の格好の行き先になっているようで、バス駐車場には由仁町・栗山町といった近隣の自治体所有バス・貸し切りバスがズラリと並ぶ。

こういった学生の利用を含めた団体来場者数は、札幌ドームに本拠地があった時代・コロナ禍前から6倍(約19万人)にも増加するなど、エスコンフィールドが「選ばれる観光地」となっていることは、疑いないだろう。

近年はインバウンド(海外からの訪日客)の姿も目立つようになった。この地は新千歳空港からおおよそ20km圏にあり、道内で「全体平均7.4泊・1泊あたり総消費額3.2万円」(国土交通省「北海道の観光基礎データ」より)とゆったり過ごす人々が、「空港に移動する直前まで、家族で遊び倒す場所」として重宝しているそうだ。

この地から空港へのアクセスは直行バスが1日6本、もしくはシャトルバス・JR千歳線の乗り継ぎで到達できるものの、この距離なら天候不順などで交通機関が止まっても「タクシーを呼べば何とか移動できる」ことが口コミで広まり、滞在先としてボールパークが選ばれているらしい……と、インバウンド観光客を何度も乗せたというタクシーの運転手さんから伺った。

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