ブルームバーグ氏「米軍の能力、官僚主義が損ねている」、国防総省の多くの契約では修理作業は製造元に認定された人員に限定

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わずかに接着剤を垂らせば直る無人機を、製造元に送り返すよう指示され、1機につき2万6000ドル(約380万円)もの費用がかかったという部隊からの報告がある。

国防総省による昨年の調査では、ボーイングC17輸送機向けトイレの石けんディスペンサーについて、空軍が7943%もの上乗せ価格を受け入れていたことが判明した。

米空母ジェラルド・R・フォードを最近視察したフェラン海軍長官は、1日1万5000食以上を賄う8基のオーブンのうち6基が、製造元の承認待ちで修理できないままになっていたと報告している。これこそ、政府の官僚主義のいらだたしい一面で、極めて高くつく問題だ。

一刻を争う

米政府監査院(GAO)によると、兵器システムのライフサイクルコストの約70%は、運用と維持に費やされている。そのため、GAOは1兆7000億ドル規模のF35計画について、維持管理の多くを軍が担うよう提言している。

これは単にコストの問題ではない。戦闘態勢を維持できるかどうかにも関わる問題だ。現在、整備の遅れが戦闘能力に影響している。平時でさえそうなのだ。

戦争が勃発すれば、状況はさらに深刻になる。戦闘中に壊れた装備を米本土や、攻撃対象になりやすい近隣の大規模基地へ送る余裕はない。平時に修理や整備を禁じられ、必要な仕様書や工具も持たない兵士たちは、戦火の下で困難を極めるだろう。

製造元への過度な依存は、許容し得ないリスクを生む。こうした傾向は1990年代以降、業界の再編によって大手防衛企業の影響力が強まる中で加速してきた。企業が知的財産(IP)を守る正当な権利を持つのは当然だが、それと同時に、支援すべき兵士たちの足を引っ張ってはならないという責任もある。

さらに、競争は健全さをもたらす。内部からであれ外部の事業者からであれ、軍が最速で最も安く最適な手段を選べるようにすることで、効率性が高まる。

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