「国宝」級のヒット邦画に?妻夫木聡主演の映画《宝島》が公開前から注目集めるワケ。映画関係者が「社会派」の本作に期待する理由を徹底解説
そこから物語は6年後の本章に移る。当時の仲間たちはそれぞれの人生を送っている。
オンを敬愛していたグスク(妻夫木聡)は地元の刑事になり、オンの弟・レイ(窪田正孝)はヤクザになった。オンの彼女だったヤマコ(広瀬すず)はアメリカ兵相手のバーで働きながら勉強し、教師になる。
それぞれが戦後の沖縄を必死に生きながら、あの日姿を消したオンの生存を信じ、隠れなければならない理由と彼の所在をずっと探し求めていた。

アメリカ占領下の沖縄で島民が強いられた苦境
そこで映されるのは、アメリカ占領下の沖縄で島民が強いられた苦境であり、政治に翻弄される社会。アメリカ軍人による暴行事件があっても、殺人事件の容疑者にアメリカ兵が浮かび上がっても、アメリカ軍が介入すれば、地元警察は手が出せなくなる。
その背後には、アメリカと問題を起こしたくない日本政府の動きもあり、内地(日本本土)に対する沖縄のフラストレーションはつのっていく。
そうしたなか、アメリカ兵が主婦をひき殺した事件で、判決理由が示されないままアメリカ兵が無罪になり、反発する島民と基地の関係は悪化。アメリカ軍への抗議運動は大きくなっていく。そしてついに暴動に発展する。

無料会員登録はこちら
ログインはこちら