「国宝」級のヒット邦画に?妻夫木聡主演の映画《宝島》が公開前から注目集めるワケ。映画関係者が「社会派」の本作に期待する理由を徹底解説
大規模な予算をかけて当時の沖縄を再現する社会描写から、歴史の負の一面を切り取り、現代に通じる社会問題として投げかける。そのとがったストーリーには、20年にわたる謎を追うサスペンス性が入り交じる。
公開は9月19日だが、関係者の間では夏前から、作品が持つ熱量が話題になり、大ヒットの予感が高まっていた。その頃から全国で一般向けの試写会が開催され、妻夫木聡や大友啓史監督が各会場に足を運び、来場者に熱く語りかけた。
すでにその作品性と製作者の思いが高い熱量となって伝播している。そんな作品を背負う妻夫木聡の覚悟が、冒頭の『あさイチ』出演時の涙につながる。
消息不明になった仲間を追う…
『宝島』は、『第160回直木賞』受賞した作家・真藤順丈の同名小説を原作に、東映とソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが製作・配給を手がける、戦争と沖縄をテーマにした社会派作品だ。

描かれるのは1950年代戦後の沖縄。暴力に満ち混沌とするアメリカ統治下の沖縄社会を舞台に、序章では戦果アギヤーと呼ばれたやんちゃな若者たちのエネルギーあふれる生活ぶりが描かれる。
アメリカ軍基地の倉庫から物資を奪い、闇市で売ったり、貧しい子どもらに分け与えていた彼らは、街の英雄的存在でもあった。しかし、大勝負となる基地倉庫襲撃の夜に、得体のしれないトラブルに見舞われる。
物資を盗み出すために倉庫に潜り込むが、アメリカ軍に見つかった彼らは、追われながら散り散りに逃げる。そこで何かが起こった。リーダーであり仲間を引っ張ってきたオン(永山瑛太)が、その日を境に消息不明になった。
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