もはや維新の党は政党交付金を受け取れない

12月の6.6億円は国庫へ返納される公算

しかし松野氏らにすれば、この臨時党大会を断固として認めるわけにはいかない。ましてや彼らに勝手に解党届けを出されてはたまらない。よって解党届けが出されても総務省が受理しないようにする必要があるが、それは果たして可能なのだろうか。

解党手続きは、党本部のある都道府県選挙管理委員会に届け出を出し、その後、総務省で処理されて完結する。

これを阻止しようとしたのだろう。週が明けるのを待ちかねるように10月26日午前、井坂信彦政調会長が大阪府選挙管理委員会に解散届けを受理しないように申し入れを行った。同時に総務省には党本部から解党届け不受理の申請書を内容証明で送付。さらに念を押そうとしたのか、松野氏が直接総務省に赴き、申し入れることも検討したという。内容証明については総務省に届いているが、松野氏自身の申し入れについては実現しなかった。総務省から拒否されていたのである。

奇妙なのは、執行部側のあまりの急ぎ方だ。解党するためには解党日までの収支報告書を添付しなければならないが、その作成には時間がかかる。そのため、総務省に解党届けが届くのはもっと後になる。実際に大阪系からの解党届けは、まだ提出されていない。にもかかわらず、慌てすぎだ。

そもそも総務省は「法律にのっとって客観的に処理していく」という立場を堅持しなければならず、大阪系にも執行部側にも与することはできない。すでに執行部側が維新の党の本部所在地と会計責任者の変更を届けているが、総務省はその申請書を受け付けたものの、受理しているわけではないという。いずれにも与しないという総務省の立場によれば、維新の党の現状を変えないという方針を貫かざるをえないのである。

12月の政党交付金6億6000万円の行方

では政党交付金はどうなるか。10月分の6億6000万円に関しては、口座が凍結されるなどのトラブルもあったが、法定の手続きに乗っていたために一応は振り込まれている。次は12月20日に支給される6億6000万円の政党交付金だが、その申請書は誰の名義で出されるのだろうか。現在、執行部側は大阪系が印鑑と通帳を離さない旧振込口座に代えて、新しい振込口座を作るべく準備をしているところだが、果たしてその口座は有効と判断されるのだろうか。

もし要件が整わず、12月分が振り込まれないままに政党交付金を巡って執行部側と大阪系の間で訴訟になったとすると、その交付金は宙に浮く。判決の後に支給されるとしても、訴訟には時間がかかるため、政党交付金が支給される時期はかなり先になるだろう。

総務省は、詳細は個別事例に即して解釈すべきだという建て前を維持しつつ、「法の趣旨として、政党交付金はその年内に支給すべきものだ。年を持ち越して交付することは、原則としてありえない」と述べる。つまり、返納を待つまでもなく、自動的に国庫に没収されることになるわけだ。

名も実も求めて華々しいぶんどり合戦が展開される維新の党の分裂劇だが、意外とその行く末はひっそりとしたものかもしれない。

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