深夜の「置き配」もロボットが担当。ヤマト運輸が大規模マンションで仕掛ける物流のこれから

取材陣が見守る中、ウィーンという微かな駆動音を立ててロボットのアームが滑らかに伸びた。その先端がセキュリティパネルに触れると、応えるようにマンションの自動ドアが静かに開く。これは、ヤマト運輸が8月22日に千葉県浦安市でお披露目した、自動配送ロボット実証実験のワンシーンだ。

タッグを組むのは、韓国で自律走行ロボットを開発するWATT(ワット)社だ。EC市場の拡大で複雑化する居住者の受け取りニーズに応えながら、ドライバーの業務負荷をも軽減する「新たなラストマイルモデル」の構築に挑む。ヤマト運輸は2026年中の実用化を視野に入れており、物流業界が直面する課題解決を占う試みとなる。
なぜ今「大規模マンション」が物流の主戦場なのか
ヤマト運輸が実証実験の舞台として大規模マンションに白羽の矢を立てたのは、その市場環境が大きく変化しているからにほならない。2010年代以降、都市部では1000戸を超えるタワーマンションが次々と生まれ、複数の棟からなる巨大なマンション群も珍しくなくなった。ヤマト運輸の宮原陽平氏が「商業施設と同じような規模感」と表現するほど、一つの居住エリアが巨大化している。
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