今回、見直しに踏み切った一方で、上級グレードに当たる「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード」などではプライオリティ・パスの提供が続き、飲食店などでの利用も可能な見込みだが、この状態も長く続くとは断言できない。
前出とは別の競合カード会社の社員は「今年3月に年会費1万円の値上げを発表したセゾンプラチナでは、サービスの廃止をしづらかったのだろう。ただ、費用対効果次第ではプライオリティ・パスからの実質撤退や飲食店の利用不可はありうる」と分析する。
プラチナカードでは年会費収入で原資を確保できる分、耐性はあるが、利用頻度や為替動向次第で採算は揺らぎかねない。
ドラゴンパスに乗り換える会社は出てくるか
今後、業界関係者が注目するのが、プライオリティ・パスそのものから撤退する会社が出てくるかどうかだ。足元では利用条件の厳格化が進んでおり、かつては目的地到着後でも空港内の飲食店を利用できたが、現在は「出発予定時刻の3時間前から搭乗まで」に限定され、到着後は対象外となるケースが増えている。
このように利用回数を制限する方向にルール変更が進んでいるが、利用者に一度浸透した“利便性志向”は容易にはしぼまない。ピーク時ほどではないにせよ、ユーザー全体の利用頻度は高止まりしているとの見方は多い。コストが増え続ければ、「撤退」という判断に至るカード会社が登場しても不思議ではない。
また、“中国版プライオリティ・パス”と言われ、空港ラウンジ利用や飲食店での優待などが利用できる「ドラゴンパス」も2023年に日本法人を設立して以来、攻勢を強めている。今年7月には、みずほ銀行が買収を発表したUPSIDERが、経営者向けカード「PRESIDENT CARD」でドラゴンパスとの提携を開始した。大手クレジットカード会社でも経済条件次第ではプライオリティ・パスからドラゴンパスへ乗り換えを検討する可能性がある。
ユーザーから見える大きな変更は出そろい、プライオリティ・パスをめぐる“狂想曲”は一段落したように映る。だが、クレジットカード各社にとっては、サービスラインナップの変更や提携先の乗り換えなど、まだその余波が続きそうだ。
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