新世代ChatGPT、登場直後に「退化した」との声も。“博士号級の知能”のはずが…。“おバカ”だった真因と、上手に使うノウハウを解説

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もうひとつ、ファインチューニングの“厚み”も十分でなかった。

ファインチューニングとは、AIの解答品質を細かく調整する作業のことだ。基礎能力は上がっているのに、人間社会の機微や会話の行儀に寄せる最終仕上げが薄く、そのために回答は冷たく、浅く感じられてしまっていた。これはAIモデルが新しくなるときにしばしば起きる問題で、時間が解決してくれる。

しかし、このファインチューニングが進んでいないタイミングで、軽いモデルを選びがちな省エネ設計が重なると、短い問いには深く考えずに短く返す“塩対応”が目に付くようになる。

GPT-4oに人生相談をしていた人たちは、新しいGPTを不機嫌と感じたようだが、もちろんAIには感情がない。機嫌が悪いのではなく、司令塔たるChatGPTの自動ルーターの指示に従い、節電モードで黙々と働いているだけだったというわけ。

“博士号級の知能”を呼び出す3つの合図

GPT-5
(提供:OpenAI)

GPT-5が本来持つ知識を表に出したいなら、プロンプトの中に“3つの合図”を盛り込むと、時に豹変してまじめに仕事をし始める。

「ゆっくりでいい。手順を分け、根拠と検証も含めて考えて」

こう指示することで、より品質の高い回答を得るため、深い思考へと入ってくれる。省エネ脳から博士脳に重心が移るというわけだ。

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