新世代ChatGPT、登場直後に「退化した」との声も。“博士号級の知能”のはずが…。“おバカ”だった真因と、上手に使うノウハウを解説

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結論から言えば、退化はしていない。むしろAIモデルの核は確実に進化している。それに博士号クラスの知識も詰め込まれている。しかし、その素晴らしい知識を持つAIモデルから、ChatGPTのユーザーインターフェイスを通じて、適切に必要な情報を取り出せない状態が生まれていたのだ。

“おバカ”に見えたのは、GPT-5から適切に知識を引き出す仕掛けを提供できなかったからにほかならない。後述するようにOpenAIはすでに対策を講じたが、筆者の印象ではまだ不十分。賢いChatGPTを引き出すためには、少しばかりノウハウが必要だ。

誰でも使いこなせる“自動ルーティング”が仇に

この問題の本質は、ChatGPTに新しく組み込まれた自動ルーティングにある。

この機能は質問の複雑さや期待精度を推定し、内部で最適な“脳”を選択し、どの程度、深く考えるべきかを判別する仕組みだ。

これにより、理論上はユーザーはAIの仕組みや、モデルごとの特徴を把握していなくとも、最短で望む品質の回答を得ることができる。

ところが発表直後、このルーターは軽い脳を選びすぎていた。“軽い”というのは、簡単に答えを出すことを優先していたという意味だ。

速度や省電力、コスト効率を重視した最適化の結果、深く考えるべき問いにも浅い処理で応じてしまい、結果として間抜けなおバカ博士が生まれたのだ。ほかにもいくつかの不具合が重なり、アルトマンCEOが「非常に愚かに見えた」との反省をXで公表するまでの状況になった。

アルトマン
2025年2月来日時のサム・アルトマンCEO(筆者撮影)
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