実はこの条項、以前は自民党党則にはなかった。しかし2001年春に森喜朗首相があまりに不人気で、全国の支部組織から「森ヤメロ」コールが鳴り響いたことがあった。蛇足ながらこの年も今年と同じ「巳年」であり、6月の東京都議会選挙と7月の参議院選挙を控えて、自民党内には焦燥感が募っていたのだ。
このときは結局、森首相が辞任して、次期総裁に選ばれた小泉純一郎氏が国民的な人気となり、結果的に自民党は延命することができた。このときに「総裁のリコール規定を設けるべきではないか」との党内議論が起きた。とはいえ、自民党総裁を直接解任する党内規定を設けると、ときの日本国首相が政争で引き摺り下ろされる恐れがある。それはいかがなものかということになって、この臨時総裁選のルールが誕生したらしい。
「総裁選挙管理委員会」に決断を委ねた有村総会長
さて、有村総会長の議事は巧みであった。両院議員総会は国会議員だけの集まりであるから、自民党の「都道府県連支部」の意見を集約できない。従って、その場で6条4項の実施を決定することはできない。ところが党則の6条5項を見ると、「前項の要求は、党本部総裁選挙管理委員会に対して行うものとする」と書いてある。
この部分、自民党ホームページの記述をお借りしよう (両院議員総会 「臨時総裁選」実施の要求確認を有村総会長が逢沢総裁選管委員長に申し入れ 2025年8月12日)。
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