ただし、こんな怪しげな話を素直に信じる人は少ないので、強気相場は「悲観とともに生まれ、懐疑とともに成長する」ことになる。そういう意味では、トランプ関税こそが今回のブルマーケットの出発点だったことになる。
加えて8月に入ってからは、①アメリカの7月雇用統計(8月1日)は予想外に弱く、関税引き上げの影響がぼちぼち出始めた様子だが、②同7月のCPI(消費者物価指数、8月12日)の上昇はそれほどではなかった。つまり雇用は心配になってきたが、インフレはそれほどではないということで、9月には待望久しい利下げが実現しそうである。スコット・ベッセント財務長官などは、「0.5パーセントの利下げが必要だ」などと言ってくれている。
景気後退が明らかになる前の利下げは、金融市場としてはまことにありがたい。すなわち強気相場が「楽観とともに成長する」段階が到来しつつある。ただしその先は、「いつか来た道」ということになるのであろう。わが連載パートナーである小幡績先生の言葉が重みを増すのは、もう少し先ということになりそうだ。
市場は「石破首相交代」を期待して上昇
さて、筆者が気になっているのは国内政局である。今週の株高の一因となったのが、8月8日に行われた自民党の両院議員総会だ。久々に「自民党の知恵」を感じさせる動きがあり、お盆明けから今月末にかけて政治情勢が急展開を見せる可能性が出てきた。
7月20日の参議院選挙大敗を受けて、自民党内では「石破降ろし」が吹き荒れたが、今ひとつ決定打を欠いていた。何しろ日本国首相は、ご本人が「辞める」と言い出さない限り、周囲が引き摺り下ろすことができない仕組みになっている。
まして石破さん、「令和の三木武夫」とも言うべき粘り腰、もしくは鈍感力を発揮している。世論的にも「どっちもどっち」的な感覚があり、永田町では「#石破辞めるな」デモが起きたりして、参議院選挙から3週間が経過してもなかなか方向感が定まらなかった。
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