「GPT-5」の評判低調で旧モデル復活を望む声 ChatGPTの独走状態に変化も?
これは主に人材獲得(引き抜き)を目的にした事実上の買収であり、いわゆる「アクハイヤー(acqui-hire)」と呼ばれる手法だ(文字通り「acquire(企業買収)」と「hire(雇用)」を足し合わせた造語である)。
これ以降、メタはマーク・ザッカーバーグCEOが先頭に立って、OpenAIやグーグル、アップルなどライバル企業から次々と優秀なAI開発者を引き抜いていった。その際、これらAI人材の一部に提示された報酬は、(複数年契約で)数億ドル(数百億円)~15億ドル(2000億円以上)に上るとの見方もある。
このメタからの攻勢に対し、OpenAIは一部の従業員(AI技術者)に数百万ドル(数億円)の特別ボーナスを支給する(と噂される)など防戦に追われた。
一方、グーグルは約24億ドル(3600億円前後)を投じて、(メタと同じく)アクハイヤーによってAIスタートアップ「ウィンドサーフ」の創業者や技術者らを引き抜いた。
また、マイクロソフトはグーグルのAI研究部門「ディープマインド」から、チャットボット「Gemini」を開発した技術者ら20名以上を高額の報酬や自由な開発環境などを条件に引き抜いたとされる。
このように過熱する人材獲得合戦は、MLBやNBAなどプロスポーツの世界におけるスター選手の高額トレードを彷彿とさせるなど、このままではシリコンバレーの企業文化を破壊するとの懸念もささやかれている。
評価が確定するまでには時間がかかる
こうした中で投入されたGPT-5は単なるモデルチェンジ以上の意味がある。
OpenAIは本来、AGI(汎用人工知能)と呼ばれるスーパーインテリジェンス(超知能)を実現するために設立されたが、アルトマンCEOはGPT-5について「重要な一歩ではあるが、未だAGIには至っていない」と認めている。
グーグルやメタをはじめビッグテックが巨費を投じてデータセンターなどAIインフラを建設したり、熾烈な人材獲得合戦を繰り広げたりするのも、最終的にはスーパーインテリジェンスを目指してのことだ。
現時点でGPT-5に対するユーザーの反応はいま一つだが、本当に重要なのは現在よりも将来に向けた潜在能力だろう。いずれは超知能へと成長するほどの伸び代を私たちユーザーが感じられるかどうか。それが確定するまでには、もうしばらく時間がかかるだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら