資本の〈謎〉 世界金融恐慌と21世紀資本主義 デヴィッド・ハーヴェイ著/森田成也、大屋定晴、中村好孝、新井田智幸訳 ~理論的かつ具体的に世界金融恐慌を解明
評者 奥村 宏 会社学研究家
かつて『新自由主義』という本で見事に本質を突いた議論を展開した著者が、リーマンショック後の世界金融恐慌を解明しようとしたのがこの本である。
なぜ世界金融恐慌は起こったのか、ということを原理的に説明すると同時に、資本の流通、生産、市場の各局面でさまざまな要因をあげて解明しようとしている。
それと同時に米国、欧州、日本だけでなく、中国や中東、アフリカ、南米などについて、それぞれどのように恐慌が展開していったのか、ということを詳しく説明している。
世界的に有名な経済地理学者であるだけに、各地域についての不均等な発展を説明しているところは大いに説得力がある。
では、この世界金融恐慌に対してどのように対処すべきか、ということについて、第8章で著者独自の見解が述べられているところも興味深い。
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