「画業40周年」折原みとが"等身大"で語る《おひとりさまの楽しみ方》。60代で始めたInstagramが人気、みと流「人生を楽しむコツ」とは?
折原さんにもっとも大きな変化をもたらしたのは、看護学生の主人公を描いた小説『時の輝き』だった。
「それまではふんわりとしたラブストーリーが多かったのですが、この作品で初めて、生命とは何かという問題について書きました。すると、それまでとは比べものにならないほど大きな反響をいただいたんです。
10代の方から、『この小説を読んで看護師になろうと思いました』という声がたくさん届きました。自分が書いたものがきっかけで、将来を真剣に考えてくれる方がいることに衝撃を受けました。作家という仕事の責任の重さについて、初めて実感したんです。
こんなにもまっすぐに受け止めてくれる人たちがいるのなら、私自身がもっと真剣に向き合わなければと自覚するようになりました」
作品づくりに影響を与えた逗子への移住
20代は東京・中目黒で昼夜を問わず仕事中心の生活を送っていたが、33歳で神奈川県逗子市に移住。現在も暮らし続けている。
「仕事は楽しかったので、まったく苦ではありませんでした。でも、自分の中にあるものをアウトプットする職業なので、"このままでは枯渇するのでは"と不安を感じていました。そんな30代に入った頃に、たまたま取材で小笠原諸島を訪れたんです」
海の美しさに感動したのはもちろん、「そこで暮らしている人たちの空気感や、東京とはまったく違う時間の流れを体験し、人生観が大きく変わった」と折原さんは振り返る。

「仕事の量を減らし、生き方を変える転機になりました。思い立ったら一直線で、海のそばの土地を探し、1年あまりで湘南に一軒家を建てて引っ越してしまいました」
同時に、"犬を飼う"という子供の頃からの夢を叶えた。愛犬の存在は、移住生活で大きな助けになったという。
「33歳の女性が一軒家を建てて1人暮らしなんて、かなり珍しいですよね。引っ越した当初はご近所の方から、どこかの社長の愛人なのかと思われていたかもしれません(笑)。
でも犬の散歩をしていると、犬を連れている方が話しかけてくれて、周りの方にも紹介してくださり、すんなりと地域に馴染むことができました」

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