
前回の「日本株を売る『絶好のタイミング』がやってきた」(7月26日配信)をひとことで要約すると、「参政党躍進の理由は、『革命ごっこ』というエンターテインメントを提供したこと」であった。
さらに、二言(ふたこと)で要約するなら、それは2001年の小泉政権に始まった一連の流れであり、小泉政権が自民党をぶっ壊して流動化させたミーハー的な元自民党票が、その後の民主主義バブルを作り、21世紀の政治と選挙は20世紀のそれとは別物となったのである。
この浮動票は群衆票となり、選挙エンターテインメントを求め、20世紀の日本の選挙における「判官びいき票」(選挙前の終盤情勢で不利なほうに投票してバランスをとる)から、21世紀の勝ち馬に乗る「モーメンタム票」(自分が選挙と政治を動かしたという快楽に乗る)となった。
選挙に勝つには「優れたキャッチコピー」がすべてに
この群衆票を引き付けるには、政策でも誠実さでも、もちろんクリーンな政治でもなく、キャッチコピーが優れていることがすべてとなり、過去「自民党をぶっ壊す」「郵政解散」「政権交代(民主党)」「デフレ脱却」ときて、「103万円の壁」「手取りを増やす」「日本人ファースト」という選挙キャッチコピーの歴史を作った。
さて、今回は、それならば「次のキャッチコピーを作ってやろう」ということである。そして、それは、「物価を下げる」である。あるいは、「物価を下げて、賃金を上げる」である。ちょっとまともすぎる、直接的すぎるが、コピーライターの才能が足りないのだから仕方がない。それは誰かに、うまく変換してもらおう。
しかし、これこそ、日本国民全員が求めていることである。これ以上まっとうな政策はない。なぜ、石破政権の人気がないのか。なぜ、与党過半数割れなのに、立憲民主党は伸びないのか。「それは古いから」というのは、結論的には正しいが、政治的手法が古いのではなく、キャッチコピーが古いだけなのである。
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