参政党の「日本人ファースト」よりもすべての有権者に響く、「まともな政党」が次の選挙で導入すべき「政策キャッチコピー」と「経済政策」を提言する

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競馬である。

日本の競馬場のレースコースは芝とダートに大別されるが、世界でもおおむね同じである(中東やアメリカの西海岸でオールウェザー的なもの〈全天候型のポリトラックのような感じ〉が試されたことがあるが、うまくいかなかった)。欧州では芝がほとんどであり、アメリカは芝もあるが、ダートが中心である。日本では、JRA(日本中央競馬会)は芝とダートで、NAR(地方競馬全国協会)は、今では岩手競馬を除きすべてダートである。

ただ、アメリカのダートは本当にダート、泥で、雨でダートの重となるとまさに泥んこ競馬となる(今年のケンタッキーダービーも、サンデーサイレンスがイージーゴアを下した1989年もそうだった)。だから、ダートの良馬場でも、日本のダートよりも早い時計が出る。一方、日本のダートは泥ではなく砂で、サンドと呼んだほうがいい。砂浜で走るのと同じで、足を取られるから、スピードよりもパワーが重視される。

この結果、日本では芝がエリート馬の舞台で、ダートは雑草馬の出番。NARのダートはJRAよりもさらに重いから、まさに雑草、たたき上げの馬というイメージがぴったりだ。一方、アメリカではエリートはダートで、ダートで力不足だと芝に転向する。2024年のケンタッキーダービー馬ミスティックダンは、ダート戦で行き詰まりを見せてきたため、今年8月9日のG1アーリントンミリオン(芝10ハロン)で初めて芝レースを走ることになった。

芝向き、ダート向きというのは、サーフェイス(地面)の違いだから、蹄の形で決まるのか?いや、蹄は、雨が降って芝が重馬場のときに重要な要素となるが、日本の芝に向く馬は、柔らかく体を使えて、超高速の脚元へのショックをうまく和らげることができる脚のつなぎの部分が柔らかい馬であり、固いがパワーがあればダートと、一般には言われている。

しかし、実はもう一つ大事なことがある。それは、気性あるいはレースぶりである。つまり、芝では、脚をためて走り、最後の直線で一気に加速して爆発させることが重要で、タメと瞬発力というメリハリをつけられる性格の馬が向く。一方、ダートは、一本調子でも、スピードとパワーを最初から持続させることができる、タフな馬が向いている。

この結果、アメリカの競馬は(アメリカ人の性格もあるのかもしれないが、芝は違うからやはり同国のダートの特徴だろう)、最初からガンガン飛ばして、すべての相手を振り切るような馬が強い。たとえ1800メートルの中距離でも、とてつもないスタミナが要求される。だからダートは短距離戦ばかりであっても、勝つ馬にはスピードだけではなく、スタミナが備わっている。一方、欧州の芝の競馬は、凱旋門賞を見ればわかるように、前半、いや最初の4分の3は、永遠に駆け引きとポジション取りだけをしており、リラックスして騎手のいうとおり細かく動ける馬が好ましい。

アメリカ競馬で勝ち上がった種牡馬のDNAを信頼せよ

この結果、私の個人的解釈では、アメリカ競馬で勝ち上がってきた馬、その馬は種牡馬になるわけだが、彼らのほうが欧州のチャンピオンで種馬になった男たちよりもDNAとして信用できることになる。

なぜなら、アメリカのレースではすべてのレースですべての馬が全力を出し切る。欧州のレースでは、ほとんどの馬が力を出し切れずに終わる。だから、レース結果が能力検定レースとして精度の低いデータになるのである。だから、アメリカから輸入された種牡馬のほうが日本でも(世界でも)成功するのだと思っている。ダートか芝かは関係ない。実際、サンデーサイレンスはダートしか走ったがないが、ディープインパクトをはじめ、日本のエリート馬のほとんどは、彼の血を引いている。

さて、10日に新潟競馬場で行われるダート1800メートル戦のレパードステークス(G3)は、芝から来たエリート馬ヴィンセンシオが1番人気の模様。

一方、中京競馬場で行われる芝1200メートルのスプリント戦、CBC賞(G3)では、ダートから芝転向2戦目のインビンシブルパパは3番人気か4番人気のもよう。私は、前述の論理から、ヴィンセンシオは過剰人気で切り、インビンシブルパパは狙い目と考える。よって、CBC賞に絞り、単勝。

(※ 次回の筆者はかんべえ(双日総研チーフエコノミスト・吉崎達彦)さんで、掲載は8月16日(土)の予定です。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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