この結果、まともな官僚も、まともな政策有識者も、ブレーンの座を追われ、というかブレーンというものが必要でなくなり、さらにまともな政治家ですら必要なくなってしまったのである。
まともな政党が打ち出すべきコピーは「物価を下げる」
しかし、今回は最後の力を振り絞って、日本社会にとって望ましい政策を、多数派をとって、実際に政権を運営しようとするまともな政党に提言することが目的だ(この陣営が「こちら側」だ。こちら側=社会を作る側、修繕する側)。「あちら側」(=社会を壊す側)に対抗するには、キャッチコピーという形に政策を落とし込まなくてはいけないのだ。
それが、「物価を下げる」である。
まず、これは国民全員が望んでいる。また、物価が下がり、生活が楽になれば、それはもちろん社会にとっていいことだ。しかも、ここで下げる「物価」の中心は、生活必需品である。食料、電気などの公共料金、ガソリンである。格差の点でも、低所得者ほど、恩恵が大きいから、非常に望ましい。
結論から言えば、石破政権は、参議院選挙でこれを徹底的に打ち出さなかったから負けたのだ。せっかく小泉進次郎農水相が「コメ」の価格を無理やり下げたのだから、そのまま、コメだけでなく、すべての生活必需品の値段を下げる、電気もガスもガソリンも!と畳みかけなかったから負けたのだ。
小泉大臣もダメだった。なぜなら、格好をつけて、政策通ぶって、農業の成長戦略なども主張してしまったからだ。そうなると矛盾が目立つ。無理やりコメの値段を下げるのは、生産者の意欲をなくしてしまう。また細かいところでさまざまな批判、揚げ足取りが出てくる。何より議論が専門的になり、キャッチコピーの勢いは衰えてしまう。
もちろん、私も、ほかの政策のプロと同じ意見で、後先考えず備蓄米のすべてをぶちまけてコメをだぶつかせて、無理やりコメの価格を一時的に下げることは正しくないし、来期の反動がきついと思う。しかし、それはそれで、別に手当てをするほかはない。100%無責任なキャッチコピーに対抗するには、50%でもまともならよしとしなくてはいけない。コメの次の二の矢がなかったことが問題なのだ。
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