では、二の矢は何か。
円高である。円安を止める。これに尽きる。
日銀には介入しない。それは政策のプロとしての矜持もあるが、要は、議論が専門的になってしまうからだ。政府だけでできることをやる。
「円安を止める」ためにはどうすべきか?
まずは「デフレ脱却宣言」をする。「デフレの時代は終わった。もう日本は、あのようなデフレにはならない。今後もデフレ懸念はない」と宣言してしまうのだ。もちろん、これは、100%は正しくない。しかし、デフレという言葉は、経済が長期に大停滞し、陰鬱な社会をもたらしたもの、という風に一般的に使われているのだから、もうそのような社会はこないし、今後は絶対にしないのだ。だから、デフレ脱却宣言はおおむね正しいのだ。
そして、為替水準、「円」は、正しい水準にあることが正しい、と宣言する。現状は、長期の大規模金融緩和により、為替市場ではひずんだ状態が、後遺症として残ってしまっている。
円安のオーバーシュートが固定化されてしまおうとしている。大規模金融緩和が正しかったかどうかは置いておき、その役割は間違いなく終わったのだから、悪い副作用が残っているのであれば、その副作用は除く必要がある。日銀は、独立して金融政策を行っているのだから、後遺症を治すのに、政府が出て行っても、日銀の今後の金融政策には影響は与えない。
こういう理屈で(こういう理屈は、一般に議論する必要はない。専門家同士でテレビやSNS以外のところで議論すればよい)、政府が自国通貨を正しい水準にもっていく、健全な通貨と健全な為替水準は最大の国益、と宣言すればよい。
政府としては、もちろん具体的な為替水準には言及しないが、目安として、まずは1ドル=120円程度だ。ドルも弱くなっているから、ユーロなど、ドル以外の通貨に対しても2割程度戻すことを目指す。これで、ガソリンも小麦も大豆も約2割安くなる。電気も安くなるが、さらに、電気は再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を一時停止すればもっと安くなるだろう。太陽光発電は森林破壊の批判もあり、賛否両論になっているから一時的に棚上げして、再エネ賦課金も一時停止する。
こうすれば、ガソリンの暫定税率など廃止する必要はない。環境問題からいっても、化石燃料の消費を促進する必要はないし、原油価格も1バレル=100ドルを超えていたときに比べれば4割程度安くなっているから、円安が終われば、ガソリンが高いということはなくなる。
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