「海水温上昇で魚が獲れない」「外国漁船が悪い」という声もあるが…。九州でアジやサバが冷蔵庫に入りきらないほど"大漁"のなぜ

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日本では大問題になる禁漁でも、漁業者が騒ぐこともありません。資源量をもっと調査してほしいという要望はあっても最後は従います。そこには資源管理に関する「教育」の違いによる影響も大きくあり、わかっているので自分で自分の首を絞めることはしないのです。

太平洋でサバが深刻な不漁になっている

銚子から釧路にかけて漁獲されるマサバ(太平洋系群)の漁獲量が減少して、深刻な状態です。最初に示した図では太平洋側のほうが逆に九州・日本海側より海面水温が少し低いようなデータになっています。しかしながら前者は大不漁、後者は小サバがたくさん獲れています。この事象は海面水温からだけでは説明がつきにくいのです。

太平洋側でマサバが獲れなくなったのは過剰漁獲が原因です。ノルウェーでは実際に漁獲できる量より、かなり少ない漁獲枠が漁船ごとに配分されます。このため、漁業者は、漁船どうしで、どこで大きなサバが獲れるかネットで情報を公開し、価値が低い小さなサバを避けて漁獲しています。

一方で、日本は太平洋で漁獲されるサバについては、資源量を大幅に多いと見誤っていました。このため獲り切れない漁獲枠が設定されることになり、小さなサバの一網打尽が続きました。漁業者の仕事は魚を獲ることです。サバ資源が激減してしまったのは、漁業者が悪いのではなく、資源管理制度の不備が根本的な原因なのです。

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