電力全面自由化、「市場の番人」の役割とは? 電力取引監視等委・八田達夫委員長に聞く
電力全面自由化時代の「市場の番人」として、2015年9月1日に発足した電力取引監視等委員会。経済産業大臣直属の組織であり、電力の適正取引の監視や送配電網の中立性確保のための行為規制などを厳正に実施することが役割とされる。発足以来、すでに託送料金(送電網の使用料)の適正性審査や小売事業者の登録審査、電源構成の開示をはじめとした詳細ルールの検討など、活発に審議を行っている。
この委員会の委員長に就任したのが、長年、電力市場への価格メカニズム導入を主張し続けてきた自由化推進派の八田達夫氏だ。自由化によって電力市場はどのように変わっていくのか、公正な電力市場のためにどのように監視していくのか、独立性や透明性に問題はないか、消費者保護はどう担保されるかなど、経産省内の委員長室で八田氏に聞いた。
市場の価格調整機能で安定供給をはかれる
――電力取引監視等委員会の最大の役割、使命をどう考えていますか。
いま行われている電力市場大改革の目的は、安定供給の確保、電力料金の最大限の抑制、そして需要家の選択肢拡大にある。これらは矢と的にたとえれば、「的」に相当する。では「矢」は何かと言うと、第1の矢が「参入の自由化」、第2の矢が「市場の価格調整機能の最大限発揮」である。
「参入の自由化」は競争を促進し、料金を低下させる役割を持つ。需要家の選択肢拡大にも通じる。問題は安定供給の確保だが、私は第2の矢の役割が強力だと考えている。
需要が逼迫した時に、電力の市場価格が上昇し、供給側の追加発電を促す一方、需要側にとっては猛烈な節電の動機となる。こういう価格メカニズムが効くようになる。「インバランス精算制度」(インバランスとは電力の需要量と供給量との差分)と呼ばれるこの仕組みが、安定供給のために決定的に重要な役割を果たすことが見込まれる。
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