自家製「サラダチキン」で「食中毒」にご用心! プロが指摘する《自己流「低温調理」の大きなリスク》
「SNSに投稿されているレシピに、不安や疑問を感じたことはあるか」の問いに対しては、「衛生面に不安」が1位。
「数ある食中毒対策のうち、一般生活者に『特に浸透していないのではないか』と思うものは?」という質問では、「中心温度は75度1分もしくは同等以上まで加熱されていることを確認する」が最多の73票だった。
低温調理の自己流は危険
「エミッシュ」代表で管理栄養士の柴田真希さんはこう話す。
「ネット上の低温調理レシピに対し、栄養士や管理栄養士から寄せられたのは、『加熱不十分の可能性が高い』『低温調理の自己流は危険』『安全性の低いレシピが多く見られる』という声でした」
「私たちはレシピを提案する際、おいしく、かつ安全なものにするために検証を繰り返します。
温度計で中心温度が安全な加熱条件を満たしているかの確認は当然しますし、それに至った調理の条件、例えば鶏肉を冷蔵庫から出して何分置くか、鶏肉の厚さ、どれくらいの湯量が必要かなどをレシピに記載します。
けれども、一般の方のレシピではそういった検証が行われていない可能性があります」(柴田さん)
さらに、保存状態によってもリスクは上がる。
「作ってすぐに食べるならまだしも、室内にそのまま置いていたり、冷蔵庫で何日間か保存したりすれば、食中毒の菌は時間の経過とともに増えていき、安全性は一層低くなってしまいます」(同)
SNSの自己流低温調理レシピの安全性はどうなのか。
柴田さんたちは、SNSでよく見かける「下味をつけた鶏肉を耐熱ポリ袋に入れ、熱湯に入れて予熱で火を通す」というレシピで、中心温度が75度1分もしくは同等以上まで加熱されるかの検証を行った。
室温26度のキッチンで、冷蔵庫から出したばかりの鶏むね肉1枚にフォークで穴を開けて耐熱ポリ袋へ入れ、調味料(塩小さじ2分の1、砂糖小さじ1、酒大さじ1)をすり込む。
10分間置いたら、ポリ袋の空気を抜いてしっかり閉じ、沸騰した湯へポリ袋ごと入れる。鍋のフタをし、すぐに火を止めて放置する。