10月初旬、日銀政策決定会合についてブルームバーグ社が実施したサーベイによると、エコノミスト36人のうち17人が10月中の追加金融緩和を想定している。
日本経済は4-6月にマイナス成長に落ち込んだ後、7-9月GDP成長率の復調は緩慢で、ほぼゼロ近辺に止まるとみられる。こうした中で、2016年以降の追加金融緩和を想定していたエコノミストの多くが10月末へと追加緩和の予想時期を前倒ししたため、追加金融緩和の予想者が約半分を占めるに至っている。
政策の一貫性を重視するのか
当社は、追加金融緩和が行われる可能性は5分5分と見ているが、あえてどちらかと言えば、追加金融緩和に踏み出さないと想定している。
最近の日本銀行からのメッセージを素直に読めば、①コアCPI(消費者物価指数)の伸びが高まりインフレ基調は変わらない(エネルギーを除くインフレ率の推移を重視、原油価格下落による下押しがなくなる今後、コアCPIは高まる)、②7-9月に非製造業景況感が改善するなど個人消費中心に国内需要の回復基調は崩れていない(製造業の生産調整は一時的な停滞とみる)、などの点を黒田総裁など執行部が重視しているようにみえるからだ。中国経済減速リスクに関して、配慮はしているが強い警戒までは至っていない。
1年前の2014年10月末、「デフレマインドの転換が遅延するリスク」を主たる理由として日本銀行は追加金融緩和(QQE2)を繰り出した。消費増税で失速した2014年と要因は異なるが、2015年4-6月以降は輸出停滞で成長にブレーキがかかっている。直近短観調査でも企業部門のインフレ期待がやや低下した。一部大手製造業から価格引下げ要請が行われていることが報じられるなど、価格上昇の動きが弱まる兆候がみられる。
2%インフレ実現に向けインフレ期待を安定的に上昇させることを最重視するアングルから、2014年秋口と2015年現在を比べると、成長率鈍化やインフレ期待低下のリスクが高まっている点で共通する部分がある。従来との政策の一貫性を重視するならば、今回も追加金融緩和策に踏み出すとの予想には十分説得力があるだろう。
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