1万8910円を超えるまでは中立姿勢が賢明だ

上昇基調回帰に向けた「第一関門」は突破

市場にサプライズを起こすのがうまいと言われる日銀の黒田総裁だが・・・(撮影:尾形文繁)

21日の日本株は急上昇した。前日の米国株の下落や最近の中国の経済指標の悪化を受けて上値の重い展開が続いていたが、日銀による追加緩和期待などを背景に、日経平均株価は前日比347円高の1万8554円で引けた。9月の貿易統計で、輸出が市場予想を大幅に下回ったことから追加緩和期待が高まったとの指摘が聞かれた。

日経平均株価は先週の本欄で重要なフシ目とした1万8400円を終値で上回った。これで、上昇基調への回帰に向けた「第一関門」を突破したことになる。日本企業の業績悪化懸念が高まりつつある中、この日の株式市場では下落の可能性があった。事実、関係者の中には寄り付き前から「下値は1万8100円程度、上げても1万8300円が精いっぱい」と、前日の米国市場の下落を受けて、下げを見込んでいた向きも少なくなかった。

しかし、取引が開始されるとほどなく上昇に転じて予想レンジを超え、後場には上げ幅を拡大し、一時1万8600円を回復した。突発的な上昇に対し、驚きの声が上がったほどである。しかし、この日の上昇で「景色が変わった」とはしゃぐのは早計過ぎる。

米国が円安を公の報告書で批判

2万0900円台から下げてきた相場である。上昇基調への回帰を期待するのは、少なくとも半値戻し水準の1万8910円を超えてからであろう。また日経平均先物のこの日の高値は9月9日高値を抜けていない。これを抜ければさすがに上値を試しそうだが、テクニカル指標は買われ過ぎ感を示している。半値戻しを達成し、さらにそれを上抜けるまでは、強気姿勢よりも中立姿勢が賢明であろう。

そもそも、現状において市場が期待する「日銀の追加緩和」が正当化される理由はほとんどない。ドル円相場は「黒田バズーカ第2弾」が発せられた水準である110円を大幅に上回っている。

また、19日に米国財務省が公表した半期為替報告書では「円は過小評価されている」とあった。日銀の異次元緩和により行き過ぎた円安・ドル高に明確な形で懸念を示したのである。

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