1万8910円を超えるまでは中立姿勢が賢明だ

上昇基調回帰に向けた「第一関門」は突破

これまで本欄では「米国はすでにドル安政策に転換した」としてきたが、これを裏付ける公の文書が提示されたことになる。このような状況下で、日本政府でさえも望んでいない追加緩和を日銀が独断で行うのであれば、それこそ「ネガティブ・サプライズ」である。

日銀の黒田東彦総裁は市場にサプライズを起こすのがうまいとされている。そのため市場では、「今回も円安・株高を演出してくれる」との期待が大きい。しかし、それを望んでいるのはごくごく一部の関係者だけだ。

黒田総裁は「物価は着実に上昇している」「景気は上向き」と繰り返している。それをわずか1週間で前言を翻し、「現状の景気・経済状況では追加緩和が必要だった」とすることはさすがに出来ないだろう。

もっとも、企業の想定レートとされる117円を割り込めば、追加緩和への期待が高まるかもしれない。しかし、そのころにはすでにドル円相場のトレンドは明確な形でドル安基調になっていると想定され、追加緩和が行われたとしても、ドル円は行き着くところまで下げるだろう。ドル円が円高方向に進めば、将来的な企業業績が圧迫されることはいうまでもない。

「コモディティの反転」でコスト上昇

外部環境は相変わらず不透明感が漂っている。19日に発表された中国の7〜9月期の実質GDPは前年同期比6.9%増にとどまった。伸び率そのものは、リーマン・ショック後の09年1〜3月期の6.2%以来、6年ぶりの7%割れに沈むという、弱い内容である。年間目標である7%の達成は厳しくなる中、習近平国家主席は「中国経済に懸念を抱いている」とするなど、中国経済はこれまでにないほどの難局にある。

これまで同国政府は、公共投資拡大や減税措置、さらに昨秋以降で5度の利下げを行うなど、景気の下支えを図ってきた。しかし、打ち出した政策は効果を発揮できていないだけでなく、上海株が急落し世界同時株安を引き起こすなど、中国経済への懸念は高まるばかりである。

一方で、中国が大量消費するコモディティは、依然として安値圏で推移しているものの、下落余地は徐々に乏しくなりつつある。実際に価格も底堅さを増しているように思われる。

その環境下でドル安基調がさらに強まれば、ドル建てコモディティの水準が切り上がることになる。これまで原油安を謳歌してきた企業にとっては、原油高がコストアップにつながり、企業業績の悪化が株価を下押しするだろう。

つまり、今後は本欄で示したような「株価とコモディティの強弱感の4年サイクル」が株安・コモディティ高の形で示現することになる。特に原油の割安感はきわめて強い。石油市場では需給面から弱気な見方が支配的だが、これまでの市場の弱気な見方を覆すような材料が出てくれば、原油価格の上昇余地は大きく広がるだろう。

今後1週間の日経平均株価の予想レンジは1万8000円~1万8910円としたい。

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