廃れゆくシャッター街の「昭和喫茶」に世界中から人が訪れる。それでも「僕らの代で最後、なくならんうちに来てくださいね」と店主が言う深い訳

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「うちはアイスクリームだけ売ってたらええわと思って喫茶店やと思ったことがないねん。せやけどブームのおかげで、コロナ禍も乗り切れました。ありがたいですね」と明弘さんは目を細めた。

「皆さん、レトロな空間がいいって褒めてくれますけど、甲斐性なしやから変えようがないだけやねん(笑)。長く続けてきたことが、たまたま今のニーズに重なっただけです」と貴和美さんは冷静に分析する。

昭和にタイムスリップしたような佇まい、家庭的な空気感も魅力(筆者撮影)

多くの人を惹き寄せる昭和の記憶

「駄菓子屋は昔は忙しかったんですが、今は子どもの数が減ってにぎわうのは遠足のときくらいです。この辺は物価が安く病院が多いから、高齢者ばかり増えていきます。駄菓子はコンビニやスーパーにも置いてあるから珍しいものではなくなった。時代の流れですよ。昔は親の店を継ぐのは当然だったから、僕もなんの疑問も持たずに2代目になった。子どもは親が苦労してきたのを見てきたからか、手堅い職業を選びました。白泉堂は僕らの代で最後。なくならんうちに来てくださいね」(明弘さん)

喫茶と駄菓子に詰まった昭和の記憶が、今も多くの人を惹き寄せる。白泉堂は、まちに残された宝物だ。

《もっと読む》【合計342歳】79歳、83歳、89歳、91歳の四姉妹で守る《まるで実家のような》創業70年の喫茶店──“思いつき”で始めた店がみんなの居場所になるまで では、4姉妹が営む創業70年の喫茶店「思いつき」をライターのコトリスさんが訪問。豊富な写真とともに、そのヒストリーを詳細にお伝えしている。 
編集部注:本記事に登場するメニューの価格はすべて取材時点のものです。昨今の原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。
コトリス ライター

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Kotorisu

大阪府在住。純喫茶保存協会二代目会長。1000軒以上の喫茶店を訪れた経験をもとに、喫茶店巡礼ブログ「喫茶のすたるじあ」を開設。喫茶店に関する情報や体験を発信することで人々と喫茶店を取り持つ「喫茶店の懸け橋ライター」として活動中。店主を取材したZINE「喫茶店の人」の制作、閉店する喫茶店の後継者探し、SNSを活用した情報発信などで喫茶店文化の発展を支援している。
ブログ:https://www.kissa-nostalgia.net/

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