「うちはアイスクリームだけ売ってたらええわと思って喫茶店やと思ったことがないねん。せやけどブームのおかげで、コロナ禍も乗り切れました。ありがたいですね」と明弘さんは目を細めた。
「皆さん、レトロな空間がいいって褒めてくれますけど、甲斐性なしやから変えようがないだけやねん(笑)。長く続けてきたことが、たまたま今のニーズに重なっただけです」と貴和美さんは冷静に分析する。

多くの人を惹き寄せる昭和の記憶
「駄菓子屋は昔は忙しかったんですが、今は子どもの数が減ってにぎわうのは遠足のときくらいです。この辺は物価が安く病院が多いから、高齢者ばかり増えていきます。駄菓子はコンビニやスーパーにも置いてあるから珍しいものではなくなった。時代の流れですよ。昔は親の店を継ぐのは当然だったから、僕もなんの疑問も持たずに2代目になった。子どもは親が苦労してきたのを見てきたからか、手堅い職業を選びました。白泉堂は僕らの代で最後。なくならんうちに来てくださいね」(明弘さん)
喫茶と駄菓子に詰まった昭和の記憶が、今も多くの人を惹き寄せる。白泉堂は、まちに残された宝物だ。
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