
ホットコーヒーは350円、かき氷は350円、あずきパフェは600円とメニューはすべてお手頃価格。コーヒーはサイフォン式だ。「ポーランドから来たお客さんが、『コーヒーがおいしい』と言ってくれたのが心に残っています」と明弘さん。SNSの影響で、海外から来る客も珍しくない。

夏場はソフトクリームの売り上げが好調かと思いきや、喉が渇くから飲み物の注文が増えるらしい。かき氷は一年中人気がある。
「若い人は衝撃的にメニューが安いって言いますね。これでも何回も値上げさせてもらっているんです。いつも通ってくれてる常連さんに申し訳ないけど、物価高でやむを得ません」(貴和美さん)
5年前に来たときのメニューを確認したら、ソフトクリームは200円だった。すべて数十円単位で値上げしており、原材料価格高騰の影響を感じられた。
毎日がお祭りのようににぎわっていた商店街

白泉堂の創業は昭和25(1950)年。明弘さんの両親である高柳孝司さん・ふさ子さん夫妻がアイスクリームの卸売業者として始めた。従業員を多く雇うほど繁盛していたという。
昭和40年頃、隣接する施設が火事になり白泉堂は全焼。大阪万博が開幕した昭和45(1970)年頃に、軽食と甘味を楽しめる喫茶室として再出発した。
「周辺は田んぼばかりでした。スーパーもコンビニもない時代で、買い物する場所が城東商店街しかなかったんです。店の前を通れないぐらい人が溢れて、毎日がお祭りの日みたいでした」と貴和美さんは振り返る。
城東商店街は1970年〜1980年代が最盛期。かつては映画館が3軒、銭湯、劇場、公設市場などもあったが、現在はシャッターを下ろした状態の店舗が目立ち閑散としている。
孝司さんが亡くなってからふさ子さんをサポートするために、現店主の高柳明弘さん・貴和美さん夫妻が手伝うように。
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