「先生だけの学校」はもう時代遅れ!? 日本の教育DXがもたらす"学び方の多様性"と"ビジネスチャンス”

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PISAの結果は一般に報道などで広く認知されていますが、学校教育の今後を概観するうえでは、OECDが2019年に公表した「OECDラーニング・コンパス2030」について理解を深めることが大切です。

ラーニング・コンパス

「ラーニング・コンパス」は「学びの羅針盤」と訳されます。子どもが先生の指示などに盲目的・受動的に従うのではなく、自らVUCA時代という未知の社会を自ら歩み進むとき、方向性を示すものです。

拙編著『SCHOOL SHIFT』のなかで田中茂範氏は、教育のねらいは「世界を変革できるように学びを方向づける(Learning to transform the world)」ことであり、子どもが「不確実な状況のなかで自らをナビゲイトしながら、人生を切り開くこと、そして、個人のウェルビーイングだけでなく地球全体のウェルビーイングに向けて他の人々と協働して考え行動することが求められる」と解説しています。

そのために最も重要な力が「エージェンシー」です。

これは「目標を設定し、責任を持って、主体的に行為することによってよい変化を起こす力」です。

生徒自身のエージェンシー(生徒エージェンシー)を高めながら、ほかの人々と共同して行為するためのエージェンシー(共同エージェンシー)を高め、両者を相互作用させていくことが重要だと考えられています。

世界標準の教育目標

ラーニング・コンパスにおける教育の目標はウェルビーイングの実現だと掲げられています。OECDの定義によれば、ウェルビーイングとは「生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な、心理的・認知的・社会的・身体的な働きと潜在能力」のことです。

学校教育は何のためにあるのか。そう問われたら、日本では教育基本法による「人格の完成」となります。これは、世界の標準で言えば「ウェルビーイングの実現」に対応するものだといえるでしょう。

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