Z世代がハマる"想定外"の仕掛け≪レンガケーキ、マグマASMR動画…≫大人には見えない価値とは?

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この流れを推し進めていくのがAIだ。AIは、膨大な情報を基に、人間では想像できないアイデアを組み合わせることができる。そこに、人間の感性とどう折り合いをつけるか。

驚きを“心地よいもの”にするために、技術と感覚の間で試行錯誤が続くだろう。それが、便利さが飽和した社会で、もっとも贅沢な体験になるのかもしれない。

【著者】
芝浦工業大学建築学部建築学科SA:荒川妃代
芝浦工業大学建築学部建築学科SA:大石珠己
芝浦工業大学附属中学高等学校:呂成祐
芝浦工業大学附属中学高等学校:若生倭

想定外の出会いを求めて

現役大学生・高校生のレポートはいかがだったでしょうか。大人世代は年々テクノロジーの進化による利便性を実感しています。それはZ世代も同じですが、同時に、彼らの人生のほとんどを「すぐに答えがわかる」社会を生きてきました。

例えば、テレビ。昭和・平成の時代は若者が暇な時にテレビをつければ、必ずしも自分の興味がある番組が流れているとは限らず、言わば「偶然の出会い」がありました。

本屋でもそうです。暇な時に本屋をぶらぶらしていたら、「あっ、こんな本があるだ」という「想定外の出会い」がかつてはありました。

しかし今や、Amazonで検索すれば想定通りの書籍が表示され(そもそもZ世代は本自体を読まなくなってきていますが……)、こうした出会いは減っています。

このように、大人世代にとっては過去には当たり前であった「想定外」ということが、今、Z世代の間では逆に新鮮で価値の高いものになってきているのです。

高校生・大学生の約3割が利用している「BeReal.」も、「想定外」という価値によってZ世代の間で利用率が伸びたSNSです。

SNS側から1日のいつ指示がくるかわからず、指示がきたら2分以内に写真や動画を投稿せねばならず(※)、かつ撮った後に加工もできないのです。

(※)投稿しないと友達の投稿を見たり、プラス5枚投稿できる権利が得られない。

タイパ・コスパが叫ばれる世の中の流れとまったく逆行する、「想定外という遊び心」を、多くの企業が理解し、商品やサービスで具現化することができるか。

これが今後、日本のZ世代へのマーケティングのキーになりますし、もっと言えば、世界のZ世代を掴むキーにもなっていくでしょう。「想定内社会」になっているのは、日本だけではなく、世界全体ですから。

原田 曜平 芝浦工業大学デザイン工学部UXコース教授

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。

原田曜平研究室 デザイン工学部UXコース インサイトデザイン研究室(https://yoheiharada-lab.com)

 

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